前へ目次 次へ 5/17 石の瞳に宿るもの 石と泥で作られたゴーレムのクレイは、長年、主人の命令だけを忠実に実行してきた。 ある冬の夜、主人が高熱で倒れたとき、クレイは初めて命令なしに動いた。 毛布を被せ、井戸から水を汲み、薬草を求めて暗い野を走り続けた。 夜明けに主人が目を覚ますと、クレイは扉の前に静かに立っていた。 「なぜ動いた」と問われ、クレイは長い沈黙の末に答えた。 「わからない。けれど、止まれなかった」 主人は石の大きな手を、そっと両手で包んだ。