表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界住人譚~ショートショート集~  作者: nireron


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/58

伝説になる前夜、勇者が泣いていたのを俺だけが知っている

魔王城の手前、俺たちは野営をした。


焚き火を囲む仲間たちは笑っていた。

「明日で終わりだな」「故郷に帰れる」「俺、結婚するんだ」


勇者だけが黙って空を見上げていた。


俺は隣に座った。


「怖いか?」


勇者は少し間を置いてから言った。

「怖くないわけがない」


「勝てる、と思ってるか?」


「わからない」


その答えが、かえって安心した。

俺たちの勇者は、無敵のふりをしない。


「なあ、勇者。俺はお前が怖くても前に進む奴だから、ここまでついてきた」


勇者が俺を見た。

「英雄だから、じゃないのか」


「英雄なんざ知らん。お前が諦めなかったから、俺も諦めなかった。それだけだ」


焚き火がぱちりと鳴った。


勇者は目を伏せた。

それから静かに言った。

「ありがとう」


翌朝、勇者は一番に立ち上がった。

振り返りもせず、城門へと歩いた。


俺たちは黙ってついていった。


その背中を見ながら思った。

英雄とは、怖くても歩ける人間のことだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ