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飛行犬

 リクが怯えることなく宇賀神のダックスと仲良さそうにしていること、なによりもモモちゃんにそっくりであることに驚いている俺に東城が話しかけてきた。


「雨宮君のダックスの名前はなんていうの?」


「あ……ああ……リクって名前だ。仲良くしてくれ……」


「うちのコーギーはプリプリのお尻だからプリンちゃんっていうんだよ!こちらこそ仲良くしてね!

それにしてもダックス同士仲がいいねぇ。プリンちゃんも入れてあげてよ。」


「ああ……リクは犬見知りだし友達ができるのは歓迎だが……」


「犬見知りってかわいいねー。真琴のモ―」


 突然、宇賀神に大声で遮ってきた。


「もっ!もー……もっ!モナカって名前なんだ!可愛いでしょ!」


「なにいってんの真琴。モ―もがっ!?」


 大声を出したかと思うと今度は東城の口を無理やり塞いだ。


「何言ってんのー!歩は最近会ってなかったから忘れちゃったのかなー!

モナカって名前だったでしょ!?ねっ!」

 

 宇賀神が至近距離に近づき、目を凝視しながらそう言うと圧に負けたのか東城は言った。


「そっ……そうだね……モナカちゃんだったね……最近会ってなかったから忘れちゃってたよ……」


「……ほらっ!見てみてよ!3匹とも仲良さそうだよ!お互いの匂いかぎあってるし!」


 確かに仲良さそうであった。リクはこういう場では見てわかるほど震えたり俺の後ろに隠れるのが普通だったが、そういう様子もない。友達ができそうなことは素直にうれしい。だが……


「なあ。宇賀神の犬ってホントにモナカっていうのか?知り合いの犬にそっくりな気がするんだけど……」


 宇賀神はすぐに否定の返答をまくし立ててきた。


「そうにきまってるじゃん!そっくりっていっても毛色とか毛並みとかでしょ!犬にも個性はあるけど飼い主以外区別はつかないもんだって!他犬の空似でしょ!」


「そういうもんか……?」


「そういうもんだって!」


 宇賀神とウカノカミさんは関係ないしな。ありえないか。顔も…………あれ?気の……せいか……?


 なにか引っかかるものがあったが、力強く言う宇賀神にそれ以上なにも言えなくなってしまった。


 犬3匹は匂いの確認をし終わり、こちらを首をかしげながら見ていた。 


「まっ……まあまあ。犬たちを見てよ。胴長短足の子たちが3匹もいるとかわいいと思わない?」

 

 東城の言葉には賛成だが、俺が最初に思ったことは違った。


「かわいいけど、アホそう」


「そういう見方もできなくはないね」


 宇賀神は笑いながら言った。その後東城が提案してきた。


「実は今日は会うだけが目的じゃないんだよ!」


 そう言うと散歩時の道具が入っていると思われる小さ目の手さげバックからカメラを取り出した。


「じゃ~ん!これで飛行犬を撮ろう!」


「飛行犬ってあの?」


「犬好きなら知らない人はいないあれだよ!足が地面から離れて空を飛んでるみたいなあれだよ!」


「おお!撮ってみたかったんだよなあ!ぼっちだとできそうにないからよかった!」


 2人は苦笑いした。


「じゃあまずは誰から撮る?」


「リクを撮ってくれ」


 食い気味にいった。


「おっけー!それにしても犬のことは積極的だねぇ……」


 その後俺はカメラマンである東城の指示に従って2人から離れたところまで行き、リードを外してから東城から見て斜めの角度から飛行犬がうまくとれるようにカメラの方向へ走った。


「リクっ!おいで!」


 そういいながら走ると、リクは全速力で俺の後を全速力で追ってきた。

 短い足で懸命に走る姿は相変わらずかわいい。しかし1歩の大きさが段違いであるため、後ろを振り返りながらスピードを調節しながら走った。


「おっけー!」


 声が聞こえると、止まってリクに声をかけながら撫でた。


「早いね~。よーし、よし。」


 ハアハアしながら舌をだすリクはかわいいなぁ!褒め終わると抱っこをしながら2人に近づいた。


「うまく撮れた?」


 そう聞くと、2人は微妙な顔をしながら言った。


「1回じゃうまく撮れないみたい……もう1回お願い!」


 1回じゃうまく撮れないのも無理はない。


「わかった」


「まった!今度は私に撮らせてくれない?」


 宇賀神が聞いてきた。東城がもう1回やればうまく撮れそうな気がしたが断るわけにもいかなかった。


「いいよ……」


 その後2人はなぜか交代交代に撮り、俺が4回目に走り終わったあと宇賀神が言った。


「撮れた!これかわいくない!?」


「かわいいね!」


 俺が汗まみれになり、息を切らしながら言った。


「はっはっはっ……み……みせて……くれ……」


 どや顔で宇賀神がみせてきた画面をみるとそこには確かに飛行犬リクの姿があった。


「めっちゃくそかわいいっ……。頑張った甲斐は……あったな……」


 リクを抱き地面に倒れながら言った。 


「そう言ってもらえてよかった!じゃあ今度は私の番ね!」


 東城はそう言って俺が撮られた時と同じように動いた。俺は疲れて動けなかったため、東城と宇賀神はお互いに撮り合いそれぞれ技術が上がったのか、1度で撮り終えていた。俺が何度も走った甲斐があったというものだ……


「プリンちゃんもモナカちゃんもかわいいなぁ!」


 2人が撮った写真を見ながら興奮して言った。


「でしょ?じゃあ撮った写真はそれぞれ後でLIMEで送るよ!」


「頼んだ!」


「ちょっとまった!」


 宇賀神は大きめの声で言った。


「みんなの写真もらえない?いや……ワンちゃんかわいいと思うし……仲直りの証としてっ!ね!」


「雨宮君はどう?」


 俺はあまり悩まなかった。どっちにしろ、なあなあのままでは気持ちが悪い。


「俺は……構わない。俺も犬好きとしてプリンちゃんとモナカちゃんの写真は欲しい」


「ありがと……ホントのこの前はごめんね?」


「それは別にいいよ……」


「じゃあこれで名実ともに仲直りってことで!今日撮った写真はLIMEのグループで全部送るね」


 東城がそうまとめると、今日は解散ということになった。


「帰る前にトイレに行きたいんだけどプリン少し頼める?」


「あっ!私も!」


 俺は2人に頼まれしばらくの間リードを3本もち、犬を3匹散歩しに来た人のようになった。

リクを見るとモナカちゃんだけでなく、プリンちゃんとも仲良くなっているのを再確認しうれしくなった。


 東城がいない間にプリンちゃんのケツに顔をつけて感触を確かめようか迷っている時ふと思い出した。

リク、名前を呼ぶと振り返った。プリンちゃん、同じように振り返った。モナカちゃん、そう呼んでも振り返りはしなかった。もしかしたら……そう思いモモちゃん、と呼ぶと振り返った。


 2人が帰ってきた後リードを渡し解散になった。


 俺は宇賀神とウカノカミさんの関係について考えざるを得なくなった。

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