私服
日曜、昼ごろ。良く晴れ暑すぎず寒すぎず気持ちのいい日だ。
約束の時刻が近づいてきた。
「リクちん!遊びにいくぞぉ~」
遊び、その単語は理解できるのかそれを聞くとテンションが上がり尻尾を左右に激しく降り始めた。
話しかけながら抱っこすると顔をぺろぺろなめてきた。喜び方が激しいね。だがそれがいい。
抱っこしながら、散歩に行くとき用の各種が入った小さいバックを持った。そのまま外にでて鍵を閉め、
リクが横にすっぽり入るほどの大きさのかごを前に積んだ自転車に乗り込む。
「リクに友達ができるといいな!じゃあいくぞー」
「ワン!」
自転車をこぎ始める。テンションが上がったリクはかごの中で激しく動き、自転車のバランスを取るのが大変だったがなんとか踏ん張った。数十分ほど走らせると開けた場所に芝生が引いてある公園が見えてきた。
駐輪場に自転車を止め、リクを下す。リクが走り出そうとするが直ぐに捕まえ、素早くハーネスとリードをつけると引っ張るように再び走り出した。あたりを見渡すと犬と遊んでいる人や子供連れなど様々な人たちがいた。それなりに多くの人たちがいたが、それがまばらに見えるほど大きい公園だった。
「楽しいね~」
リクは芝生の匂いを嗅いだり、あたりを散策するのに夢中だった。
約束の時間より若干早く着いてしまったが喜んでくれてなによりだ。
『着いた。どこにいればいい?』
端的なメッセージを送るとすぐに返信が返ってきた。
『噴水あるのわかる?そこにいてもらっていいかな?』
東城が送ってきた直後、既読がつき宇賀神もメッセージを送ってきた。
『歩と一緒にすぐ着くよ』
二人一緒にきたのか。お互いの家知ってるだろうし、二人とも歩いてこれるってことは近い感じしたし不思議じゃないか。そう思ってあたりを見渡す。遠くの方に噴水があるのがすぐに見つかった。
「リクちゃん、あっちだってさ」
そういって噴水の方に軽く引っ張って誘導すると、その方向に鼻で地面をふんふんしながら歩きだした。
「ここでまっててだってさ。リクちゃんに友達ができるといいねぇ~」
膝を曲げ、リクの顔を両手でわさわさしながら話しかける。数分後リクにちょっかいをかけていると遠くの方に2人と2匹の犬がこちらに来るのが見えた。段々近くになるにつれ鮮明に見え始め、衝撃を受けた。
2人とも私服だったわけだったが、それがとんでもなくかわいかったからだ。2人ともカーストトップの美少女であることはわかっていた。はっきり言って学校の制服も似合っていてかわいい。だがそれは見慣れていたからこそ意識せずにすんでいた。しかし今日は私服。改めて2人がいかに美少女であるかを思い知った。
東城は白の長袖Tシャツをまくり、スキニージーンズという金髪に映えるシンプルな服装だった。シンプルだからこそ顔の良さ、スタイルの良さを強調した服装だった。
宇賀神はベージュの薄めのニットで萌え袖を作り、青いショートパンツでタイツを履いていた。黒髪で萌え袖にタイツ。あざといがかわいいと言わざるを得ない服装だった。
対して俺はおしゃれとは言えない量販店の安い服。白Tに黒いジャケパン。モノトーンでサイズさえ合ってれば外れはないのだよ。2人と比べ華がなかったが仕方がない。
2人とも俺より身長は低いはずだが小顔、長い足でスタイルが良く8頭身はあるんじゃないかとさえ感じた。俺は6.5頭身ほどだと信じたい。
「どう?」
いきなり東城が服を指しながら聞いてきた。
「かっこいいし似合ってると思うけど……」
素直に感想を言う。
「ありがと~。女の子は褒めてもらいたいものなんだよ!」
「ど……どう?」
宇賀神まで聞いてきた。あざといけど、と言いはじめようかと思ったがなんとかその部分は省いた。
「かわいいと思うよ」
「ありがとう……」
顔を赤くしながら礼を行ってきた。
「雨宮も清潔感あっていいと思うよ!」
続けていってきた宇賀神に礼を言った。
「ありがとう」
ほめあいで照れくさくなった俺と宇賀神は赤くなり一瞬見つめあってしまった。
おとといのことは触れないでおいたほうがいいのかどうか、考えてながら顔を逸らして2人の犬を見た。
東城の犬は写真で見たプリケツ、プリ尻のコーギーだった。かわいい。
だが俺は宇賀神の犬を見て再び驚いた。宇賀神の連れている犬は茶色で毛が長いダックスだったからだった。
驚いたのはリクと同じダックスだったからではない。いや、それも関係している。茶色で毛が長く、ダックス。俺にはそれがモモちゃんに見えてしまった。
リクは怯えることなく、そのまま茶色のダックスと仲良さそうにお互いの匂いを確かめ合っていた。




