写真交換
リクを自転車のかごに乗せて、ゆっくりとペダルをこぎながら帰った。
家に着いたときにはもう5時前後で、夕暮れ時だった。
リクを抱きながら玄関を開け、足をきれいにウェットティッシュで拭ってからリビングに降ろした。
「リク。モナカちゃんはモモちゃんだったか?匂いはどうだった?お前ならわかるだろ?」
撫でながらリクに話しかけたが、首をかしげるだけだった。
「かわいいけどさぁ……。でもリク怯えなかったしなぁ……。プリンちゃんと仲良くなれたのもモモちゃんあってのことだとも思えるし……。あーーーー!でももうあれモモちゃんで確定だろ!?名前に反応したし!」
あーでもないこーでもないとしばらく頭を悩ませたが、あの反応をされてはそう思わざるをえない。
色々考えている時、携帯がなった。メッセージが届いているようだった。
『投下!』
確認すると、東城からはやくも今日の写真がグループに貼られていた。カメラで撮ったものをメールで送るとは手際がいいな。そこらへんのやり方に疎い俺は素直に感心した。
しかし写真を確認すると、衝撃を受けた。
飛行犬の姿が可愛すぎたというのもある。だがそれはすでに撮った時に確認した。俺が驚いたのはリク、プリンちゃん、モナカちゃん兼暫定モモちゃんの飛行犬の写真ではない。俺の写真だ。俺がリクの前を必死の形相で走っている写真だった。他にも走りすぎてバテている写真、地面に寝転がっている写真もあった。
『おい!ワンちゃんはかわいいすぎる。写真をくれて感謝もする。だがこのかわいくもない写真はなんだ!いつの間に撮りやがった!このために俺を何回も走らせやがったのか!ワンちゃんたちの写真を交換するだけだろ!』
俺は顔を真っ赤にしながら素早く長文を打ち込み、送った。今度は宇賀神がメッセージを送ってきた。
『かわいくないことも……ないよ。なによりリク君と全力で遊んでるって感じがしていいと思うよ。私は結構好き』
『そうそう。そんなに怒らないでよ~。いい写真だよ?』
この陽キャ共めっ!陽キャに面白陰キャ写真が握られているかと思うとゾッとする。
俺はつい感情が高まって反射的に変なメッセージを送ってしまった。
『代わりにお前らの写真もよこしやがれ!』
『私の写真欲しいの?いいけど』
宇賀神はすぐに犬との自撮り写真を送ってきた。
『いいよ~』
東城もまた躊躇せずに宇賀神に合わせたのか犬との自撮り写真を送ってきた。
溜飲が下がったというよりも恥ずかしいことを言ってしまったという気持ちが大きかった。
俺は2人の写真が欲しかったわけじゃない、ワンちゃんたちの別の写真が欲しかったんだと心の中で言い訳した。つか仮に2人の写真っていっても恥ずかしい写真じゃなきゃ釣り合わなくね……?
『すまん。ついに感情的になった。』
ひとまず、素直に謝った。
『別にいいよ。じっくりみてね』
『ふざけただけだったけど、ごめんね?代わりにいつでも私たちの写真みていいから!』
俺はこいつらにいじられているだけなのか、バカにされているのかホントにわからない。
……一応写真は保存しておいた。一応ね……。写真だけ見れば美少女と犬でよく映えるしね……。
『じゃあ明日ね~』
『お休みなさい』
『ああ』
こうしてしばらくの間やり取りした後解散となった。
その後個別メッセージで宇賀神に犬のことやウカノカミさんのことを聞こうとしたが思いとどまった。
素直に聞いても答えてくれるとは限らない。だったら探っていった方が良い、そう思った。
幸いにしてさっきのやり取りでモナカちゃん暫定モモちゃんの写真も宇賀神の写真も手に入れたのだ。
なにより宇賀神は俺がモナカちゃんがほぼモモちゃんだとわかったと知られていない。
宇賀神とウカノカミさんのことを探っていくことを決意し俺はウカノカミさんにメールを送った。
『突然すいません。リクが会いたがっていると思うので7時ごろ一緒に散歩しませんか?
時間がまずいなら合わせます!ダメなら大丈夫です!』
すぐに返信が返ってきた
『はい。大丈夫ですよ。7時ごろにいつもの公園で待ち合わせしましょう』
ウカノカミさんに会えることはうれしかった。
でもこれからはウカノカミさんのことを知っていこう、そう思った。
恐らくモモちゃんとは数時間後の再会になるのだろうと思うのだった。




