水上都市の戦い
俺たちは俺の起こした津波にのって水上都市に到着する……はずだったが、届かない。
あと一息というところの水上で波が霧散し止まってしまった。
「あれ?」
周りに水竜が集まりだしている。
まずい。
このままじゃ、足場の悪い氷の上で水竜を相手にしなければならなくなる。
だが、ここまできたらテレポートでもいけそうだ。
俺は、シフォンとソニアを連れてテレポートする。
よし今度こそ、本当に水上都市に到着だ!
水上都市は海運業が盛んなようで、港には大きな船が何隻も停泊していた。
「いくぞ」
「了解」
「キョースケ、私のグランドを出して」
いつから地竜はソニアのものになったんだ?
そう思いながらも、俺はソニアに促されるまま亜空間から地竜グランドを呼び出す。
「グランド、みんなを乗せて走って!」
グランドの背に乗った俺たちは都市の中心部に向かって移動する。
岸から見えた通り、白と青で彩られた街並みは美しかった。
しかし、所々で水竜と出くわし、戦闘となる。
勝てない数ではないが、万が一ということがないとも限らない。
「ハル、闘衣はいけるか?」
《兄貴、ダメっす。共鳴率が足りません》
「ちっ!」
「恭介、魔導でいくわよ」
「了解、ファイアレイブン……levelMAX、朱雀!」
「アイスドール……モデル、戦乙女」
俺の放った巨大な火の鳥と、シフォンの氷の乙女像が邪魔になる水竜を吹き飛ばす。
だが、やはり俺の魔導や乙女像の細い剣ではとどめには至らないようだ。
俺とハルの共鳴率を上げるのは簡単だが難しい。
だって、エロが必要になるのだ。
ここは戦場で、そう簡単にハプニングエロなんて転がっているはずはない。シフォンやソニアがいなければ、検索の魔法でシフォンのパンツ鑑賞をしたりして上げることも出来るのだが、今はそれも難しい。
そんなことしたら水竜ではなく、うちの女性陣に殺されかねない。
「キョースケ、どこに行ったらいいと思う?」
「そうだな」
俺は、検索の魔法で、この都市で一番偉い人の場所を探す。
いつも通りのピコーンって反応があり、光の道が指し示される。
「俺が誘導する。この先の道を右に曲がってくれ」
「グランド、お願い」
「その次は左だ」
俺の指示の通りにひた走ると、一際大きな建物が見えた。
白い西洋の城をやや簡素化したような佇まいだ。
「あの建物の中に、この街の偉いやつがいるみたいだ」
「今のこの街の事情が聞けるといいんだけどね」
「行ってみましょう」
俺たちはそこへ向かう。
城の手前は広場のようになっていて、数十匹の水竜がいた。
幸いにも敵はまだこっちを捕捉してはいないようだ。
広場の入り口がみえてきた。
何故だか、戦闘は行われておらず、広場には水竜しかいない。
理由はわからないが、混戦よりは好都合だ。
先手必勝!
「竜巻……levelMAX!」
俺は広場に竜巻を起こす。
広場にひしめくようにいた水竜たちが次々に吹き飛んでいく。
持続時間より大きさに重きをおいたので、俺たちが広場に突入するタイミングには竜巻は消滅していた。
「一気に広場を駆け抜けるぞ!」
俺たちは広場を駆け抜け、一気に城の前までくる。
この中の重要人物に今回の騒ぎの原因がわかっていればいいんだが……。
俺は、中へと続く扉を開ける。
そこには、礼拝堂のように広い空間があって、二人の人間がいた。
一人は15才くらいの美少女。
巫女のような服装だ。
その薄い衣装の端々は透け感たっぷりで、コスプレのように見えなくもない。
この子が重要人物だろうか?
水神に仕える巫女とか、この世界ならありそうだ。
ただ、その細い首には剣が突きつけられ、淡く血を滲ませていた。
巫女風美少女に剣を突きつけている男が俺に問いかけてきた。
「お前ら誰だ?」
「お前こそ誰だ?」
一応、にこやかに問い返してやった。
だが、俺の額には汗がびっちょりだ。
この感覚、前にも感じたことがある。
俺はこの街の重要人物とともにヤバイ人物にも出くわしたようだ。
「他の奴ら同様に、地下へ閉じ込めておくのも面倒だな……なあ、あんたそこで死んでおいてくんねえ?」
「絶対嫌だって言ったら?」
「う~ん、これはお願いでも相談でもなく……命令なんだわ」
「できない」
「なら、俺がやるしかないんだが、今俺の手が塞がっているからな」
状況はよく掴めないが、重要人物であるあの少女以外は、地下に閉じ込められているみたいだ。どういうわけか、あの少女を殺す気は今のところないようだ。
他の人たちが生きているというのは有難い情報だが、その殺気が俺に向いているという状況は嬉しくない。
だが、そのやる気のない瞳とは裏腹に、立ち姿には隙というものを感じない。
こいつは何者だ?
とりあえず、悪者といういうことは間違いないだろう。
(シフォン、地下に捕まっているっていう奴らを頼めるか)
(恭介はどうするの?)
(スッゲェ不本意だが、あのヤバそうなのを足止めする奴が必要だろ?)
やるしかない。
そう思っていると、
「う~ん、やっぱめんどくさい。まあ、いいや。気の長い俺だから、夜までは待ってやる。おい、ガキ、それまでに魔性石のある部屋への入りかたを教える気になっててくれよ。もし、なってなかったら、チョイと手間だが……俺の手でお前ら皆殺しにしてやるからな」
男が笑顔で言ってくる。
その瞳は、人ではあり得ない深紅に染まっていた。




