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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
異世界黄金都市ユグシル編
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黄金都市、ユグシル

俺たちが山脈に近づくと途中に町が見えてきた。

なかなか大きそうな町だ。

都市と言っても良いかもしれない。



さらに都市の近づくと、大きな街道にぶち当たった。

へ~、この世界にも道ってあるのだ。

石畳が轢かれていて、ちゃんと道になっている。

考えてみれば、今まで森とか山の中ばっかりだったしな。

街道を歩くと、都市を囲む城壁が見えてきた。うん、俺がミリハイムの町で造った城壁も負けてないな。

高さと風格はともかく、芸術性は俺が造った城壁のほうが上だろう。

都市の門には、ちゃんと門番の兵士風の男もいて、俺たちを迎え入れてくれる。

やっと、ファンタジーっぽくなってきたぞだ



「おう、坊主たち、どこから来たんだ?」


「ミリハイム村からです」


「ミリハイム村……あまり聞いたことない村だな、ここから遠いのか?」


「はい、とても」



嘘ではない。

距離にして約七百キロ。

普通に森の中を歩いたら、どれだけかかるか考えたくもない。



「まぁ、いいか。俺の出身の村も山奥の辺境だったからな。ようこそ、黄金都市、ユグシルへ。ゆっくりしていってくれ」



黄金都市、ユグシル。

それが、ここの都市の名前らしい。

黄金都市なんて言うから、町は金色なのかと思ったがいたって普通だ。

材質も石や木で、賑わってはいるが普通の街並みだ。



「恭介、みてみて、すごくお店もいっぱい! 何か良い匂いもする♪」


「シフォン、さっそく食い物かよ……って、たしかに良い匂いだな」


近くの屋台にいくと、焼き鳥みたいに串に刺してある食べ物を売っていた。

え~と、値段は……1?

単位は何なのだろうか?

わからないときは聞いてみるべきか。


「おばちゃん、これって一本いくら?」


「一本、小銅貨一枚だよ」



おっとぉ、ついにきたよ。通貨!

銅貨って、やっぱりファンタジーはこうでなくちゃ♪



「小銅貨? ひょっとして、大銅貨とかもあったりする?」


「なんだい! 通貨も知らないなんて、あんた達えらい辺鄙なとこから来たんだね」


「俺たち村から旅してて、今日、この町に着いたばかりなんです」


「そうなのかい。それは大変だったろ。はい、これはおばちゃんからのサービス。そっちのヨダレを垂らしている可愛い娘と一緒に食べな。もし、本当にお金を持ってないなら、向こうに紹介所があるから行ってごらん」


「ありがとうございます」



おばちゃんの教えてくれたほうに散策しながら歩いていくと、大きな建物が見えてきた。

大勢の人が出入りしてるし、ここで間違いなさそうだ。

中には、色々なカウンターがあって、それぞれ違う業務があるらしい。

とりあえず、一番空いているカウンターに並んでみた。

俺たちを綺麗なお姉さんが対応してくれる。ラッキー!



「ようこそ、ここは全国共通ギルドの登録窓口です。今日はどんなご用ですか?」


「あの、俺たち金を持ってないんで稼ぎたいんですが可能ですか?」


「可能ですよ。登録したあとは、依頼を受けてもらったり、品物の買い取ってもらうことができるようになります。資金と実績で収入は大きく変わりますがね。ここにはいないですが、グランドマスターに認められ自分の出身の町に支所を作って、ギルドマスターになった人もいますよ」


「!」



自分の出身の町に支所を作れる?

マジで!

ミリハイムの町に支所ができたら、もっと住人も増えて便利になるんじゃないだろうか?

やりたいことが増えたような気がするが、それは自分の手が空いたときでいいだろう。

今は目先の金が最優先だ。



「ギルドへの登録料とかはかかりますか?」


「手続きにかかる費用を合わせて、小銀貨一枚です」


「あの……それって小銅貨何枚分ですか? 俺たち、あまり金を見ることがないくらい辺境の村の出身で、あまりよくわかってなくて」


「小銅貨だと百枚ですね。大銅貨だと十枚になります」



お姉さんが丁寧に教えてくれる。

成る程、大は小十枚分の価値があるということみたいだ。



「あの、ダメ元で聞くんですが、前借りなんて……」


「できませんね」


「やっぱり。……なぁ、一応聞くがシフォンは持ってなーー」


「ないわよ」


「威張って言うなよ」


「あちらに、掃除やゴミ拾いの仕事を斡旋するカウンターがあるんで、そちらで費用が貯まるまで頑張っている方も大勢いますし」


「わかりました。検討してみます」



掃除やらは、貰える報酬は低いかわりに、安全が約束されており、老若男女でごった返しており、当分順番は来そうもない。

そうこうしているうちに、本日分が終了になったようで、皆散っていく。

俺が肩を落としていると、だいぶ高齢のじいちゃんが俺たちに声をかけてきた。



「さっき、あそこの姉ちゃんとの話は聞かせてもらったよ。あんまりにも面白かったのと、大変そうなのとで、ワシが助け船を出そうじゃないか」


「金を貸してもらえるんですか?」


「金は貸さん。ただ、お主に依頼を1つ任せてみようじゃないか。その依頼を達成できたら、報酬としてここでかかる費用をワシが出そう。どうだ? どうせギルド登録したらそういう依頼もこなしていくことになるわけだし、腕試しってことで?」


「話の内容を聞いてみてからでもいいなら」


「それで構わんとも。じゃあ、日が暮れたら門のところで待っとるぞ」



ホッホッホといかにもありがちな様子で老人が去っていく。

じゃあと見送りつつも呑気に待つ気はない。

こんなときこそ、検索の魔法の出番だろう。

あの老人のことを検索にかけてみる。

すると、ギーギーって、初めての音が鳴り検索拒否された。



「何者だ? あのじいちゃん」



まぁ、他に当てがあるわけでもないし、今日はこの都市に宿泊するか。

というか、俺にとって初めての都市ともいえる。

是非とも散策せねば!

ハル?……少しくらい復活が遅れても大丈夫だろう。

むしろ、シフォンによる処刑を先伸ばしすることになるのだ。感謝してほしいくらいだ。



「シフォン、色々見てみよう」


「やったー」



大喜びしてるところ悪いが、今のところ金がないんで冷やかししか出来ないんだがな。

金がないって本当に辛い。


まさか、異世界に来てまで金で苦労することになるなんてな。


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