出立
俺はシフォンと旅支度を整える。
といっても、持ち物は空間魔法で全部亜空間に入れてあるし楽チンだ。
服装は、ドレスメイクで旅をしやすい格好にしている。
シフォンは、フード付きのポンチョにミニスカートという格好だ。
俺は、一般的な冒険者という格好をイメージ。ちゃんと股間をオープンにすることなく着替えに成功している。
家は、一応そのままにしている。
ハルのことが片付いたら一度、様子を見に戻ってこようと思っているし。
ただ、どのくらい期間がかかるかわからないし、もしその間にこの町に何か起こったらどうしようかという心配はある。
俺たちが出発することを知った住人達が集まってくれている。
良い人たちだ。
シフォンも仲良くなった住人達と、しばしの別れの挨拶を行っている。
俺の方にも、町長のレオナを初めとした住人達が集まってくれていた。
その中には雫もいた。
<……お兄ちゃん、これを持っていって……>
雫が、水の入った小さな瓶を差し出す。
飲み水は、魔法でも出せるし、どういうことなんだろう?
「雫、これは?」
<……雫の生まれた泉のお水。お兄ちゃんの腰のベルトにでも吊るしておいて。もし、この町に何かあったら、お水の色を変えて教えるね……>
「……助かるよ、ありがとな」
雫は本当にできる子だ。
俺の心配を他所にすべての準備を整えてくれている。
レオナや雫達がいれば、大きな問題は起きないだろう。
「恭介、行くわよ」
「ああ、わかった」
俺は声を大にして住人達に言う。
「行ってきます!」
俺は町を出ると、さっそく検索の魔法を使用する。
検索内容は、勿論、ハルの復活方法だ。
前回と同じように、光の道が示される。
この先に、うちの変態勇者を復活させる方法が……。
そう思うと、気分も高揚する。
「シフォン!」
「いつでもどうぞ」
もうすでにシフォンは、俺の腰に掴まって、テレポート準備も万端だ。
俺は、連続テレポートを開始する。
俺の今のテレポート最大距離は二百メートル。
一分間に三十回テレポートするとして、六キロは移動できる計算だ。
それが、かれこれ三十分。
移動距離にして百八十キロ。
景色は相も変わらず森ばかり。
ミリハイムの町が辺境にあるということを再認識させられる。
もう三十分テレポートした時点で休憩にする。
フィジカルブーストの稼働時間は、連続では一時間程度。
あまり無理をしたら、これからどうなるかわからない。
慎重にいくことにする。
交代で見張りながらの休憩のため、俺は丁度良い木の根に腰掛け、昼飯に干し猪肉とマスカットのような果実を食べる。
塩気が少し薄めのジャーキーみたいでなかなか美味い!
俺が、干し猪肉を食べていると、少し先を見に行ってきたシフォンが戻ってきた。
「恭介、ちょっと一緒に来て」
「ん?」
シフォンに付いて行ってみると、まだ大分先にだが大きな山脈が見えてきていた。
お前はエベレストか!ってくらい高い。頂上が雲に隠れて見えないくらいだ。
だが、間違いない!
光の道はあそへと向かっていた。
「行くんでしょ?」
「勿論!」
俺たちは移動を再開する。




