レオナの事情
私の名はレオナ。
村の長のリチャードの娘として生を受ける。
幼い頃から、父、リチャードの仕事を見ていて村を纏めていく仕事に興味を持った。
でも、女である私に出来ることなんてたかだか知れていた。
せめて男であったならどうとでもなっていたであろう。
こんな150人程度の小さな村の村長の娘など、誰も相手にしてくれるわけもなく、適当な村の男に嫁がされることだろうと思っていた。
元々、森の狩猟や採取より、安定的に収穫できる作物が頼りの村だった。
だが、今年は作物が不作だった。
原因は不明。
今のところ餓死者こそ出してないが、この先はどうなるかわからない。
そこで、父は暴挙に出ようとした。
近くにある、さらに小さな村を襲おうというのだ。
そこの子どもや娘たちを変態貴族に売り渡し、僅かな資金と今後の安定を買おうと思ったらしい。
だが、その企みは失敗。
私は直接見ることはできなかったが、村はたった二人の人間に壊滅させられ、小さな村に連行されることになった。
因果応報。
自分達も似たようなことをしようとしたのだ。奴隷として死ぬまでこき使われてもしょうがない。
私も止められなかったので同罪だろう。
自分の死に場所が、小さな村ってのも気にならなかった。
そう思っていた。
私達が連れていかれた先に待っていたのは、小さな村?…って言いたくなるような城壁に囲まれた場所だった。
「えっ! なにここ?」
どうやら、ここが目的地で間違いないみたいだ。
門には、何か生き物があしらわれている。
見たことないけど、魔物なの?
中で、私達を迎えてくれたのは、数十人程度の村人と、その中心にいる私より年下の男の子。
周りの人たちの態度を見ると、この子普通じゃないのかも。
私の村の人たちも何人か明らかに怯えてる。
村長でもなさそうなのに、ずかずか前に出てきて話し出すしさ。
どうして誰も文句を言わないのかしら?
さらに言われたことに驚いた。
だって、ここに住めって言うんだから。
もう家も準備されてて、前に住んでいた家と同じくらい大きくて広い家だった。
それが標準仕様で何軒もあるから驚き。
家は合計で数百軒はあるかも。
住人は私達を含めても二百人くらい。
土地はまだまだ余っているし、家や宿屋なんかの建物を増やせば数倍の人数が住むことが出来そう。
どういうこと?
ここって、つい最近まで小さな村のはずだったでしょ!
私はいてもたってもいられなくなって、近くにいたお婆さんに声をかけていた。
「ああ、ここの村はキョースケが作り替えてくれたんだよ。有り難いねえ」
このお婆さんの家も、私が貰った家と同じで、二階建ての大きな家だった。
何者なの?
そう思うと同時に、1つ気になったことを聞いてみる。
「お婆さんは、足悪そうですよね。二階建てで大丈夫なんですか?」
「確かに大変だけど、二階には上がらずに生活してたら、どうとでもなるものさ」
画一的に作られた家は、このお婆さんには合わなかったらしい。
例えば、他にも商店や職人をやりたい人がいたとしても、この家では過ごしにくいはずだ。
ちょっと、意見を聞いて回る。
皆、良くなったとは言っているがそれぞれ思うところはあるようだ。
私なら、これらの現状を踏まえて、より良く過ごしてもらえるように考えることができるのに!
でも、あんな1日で町を作り上げられるような馬鹿げた魔導の力なんてない。
また、ここでも思うだけしかできない毎日が始まる。
そう覚悟していた。
でも、宴会のときに父と同じように馬鹿げた飲み方をして、村の備蓄食糧までおつまみにして酔いつぶれている、ラルフさん?ここの村長の態度を見て気が変わった。
言いたいことを言ってやろうと思って、ラルフさんの家に突入する。
ここまですごい発展をさせてもらって、ただ何となく生活させられるなんてもったいないし!
そしたら、キョースケもいてビックリ。
話してみたら意外といい奴で、私が皆の意見とかを聞いて回っていたことも素直に感心してくれた。
この村……町にするみたいなことを言っていたけど、ミリハイムの町長をしてみないかだって。
さすがに、ちょっとやそっとじゃ動揺しない私でも開いた口が閉まらなかった。
だって、私はあんたの村を襲おうとした男の娘だよ?
でも、こいつ、キョースケが、どんな町を望んでいるのかを、ちゃんと聞いてみたい。
それで、もし本当に私に任せてくれるのなら…………。
ここなら、私の理想の仕事が出来そう♪




