表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
異世界ミリハイム村編
44/78

完成、新ミリハイム村

俺は、ミリハイム村の村長ラルフさんの許可も得られたので、早速作業に取りかからねば!

だが、その前に一応はやらないといけないことがあった。

村人たちへの説明だ。

他の村人には、手分けして声をかけ、村の空き地に集まってもらった。



「俺の魔導で、皆さんの家々を作り替えたいと思うのですが、どうでしょうか?」


「「「!!!」」」


「それって、どういうことなんだ?」


「俺らの家が無くなるってことか?」


「そりゃ、困るぞ!」



いきなり切り出した俺の言葉に、さまざまな質問が飛ぶ。

そりゃ、そうだろ。

この村の建築技術では、家を一軒建てるのに数ヵ月はかかってしまう。

自分らの家がどうなるのか気にならないわけがない。

村人たちは、今のままでも大きな問題は感じていないのだから尚更だろう。



「えーと、皆さん、隣の家から声が聞こえてきたことはありませんか? 夫婦喧嘩の声とか、恥ずかしい大声での寝言とか?」



俺の言葉に、皆が黙って顔を見合わせる。

皆、何かしら思い当たることがあるのだろう苦笑している。

因みに、俺もある。

俺とシフォンが借りている家も壁が薄く、近くの家の声が聞こえてくるのだ。

怒鳴り声とかならまだいいが、夜に激しく営む声が聞こえてくるもんだから困ったもんだ。気持ち良さそうに喘ぐ声をBGMに、隣ではシフォンが無防備に寝息を立てている。

時折、シフォンは寝ぼけながら寝返りをうつと、俺の背中にピトっと引っ付き、『(ミリー様)大好き♪』だぜ?

わかるか! この思春期真っ盛りまで若返った、俺の抱える体の葛藤が!

要するに、俺の理性の限界も近いってことだ!

……ふう、話が少し反れたな。

少し落ち着こう。

俺は、村人たちに対し、大雑把にいい家が建つことを説明したあと、デモンストレーション代わりに、この空き地に魔導で、家を一軒建ててみた。

外見のイメージは、リチャードの家を参考にし、中はラルフさんの家の内装をイメージさせてもらった。

間取りは5LDKで、しかも二階建てだ。

シンクのあるカウンターキッチンに、浴室とトイレまで完備している。

とはいっても、トイレは汲み取り式だし、蛇口も作ってはいるが、形だけで水は出ないんだがな。

思いっきり、見た目だけの設備は現代日本に近づけてしまったが、まぁ、問題はないだろ。

モデルルームみたいに好きに見てもらう。



「なあ、キョースケ、これはなんだ?」


「これはなんなんだい?」


「それはですね……」



始めてみる造りの家に、興味津々で村人たちは家の中を見て回り、俺に次々に質問してくる。

反応は、なかなか好評だ。

ミリハイム村の多くの家が、現代日本でいうところの1LDK程度の間取りと広さで、家族二~五人で暮らしている。

小さな家には小さな家の良さもあるのだろうが、子どもが三人とかになってくると、さすがに手狭だろう。

というか、俺が魔導で作った家は、俺が住みたいくらいの物件だ。

そして、リチャードたちにもこの村の住人になってもらおうと思っていることも説明。

この村の子どもや娘たちを拐ったことは結局バレると思うので一応ありのままに言っておくが、意外とそこまで悪い反応は返ってこなかった。

何でだ? もっとボロクソに言われるかと思ったんだが?

俺が不思議そうにしていると、村人がニカっと笑いながら声をかけてきた。



「これだけの魔導を使える、お前が居てくれるからな。もし、あいつらがまた悪さをしてもまた懲らしめてくれるんだろ?」



この村人たちの反応は、俺に対する信頼から来ているということだ。

しかも、一人二人ではない。

多くの人間が同じ意見のようだ。

それを聞き、嬉しくないわけがない。



「違うのか?」


「まさか!そんときは俺がぶちのめしてやりますよ」


「なら、俺らに文句はないさ。俺らの家、お前に頼むわ」


「こんな家、よその村じゃ、村長だって住めないよ」



皆、快く了承してくれた。

これで、俺の村の再編成計画は本格的に了承され、実行に移ることになる。

村人たちには家から必要な道具や家具の運び出しをしとくように声かけし、作業に取りかかってもらっている。



俺は村を囲む城壁の外に移動する。

城壁から森までは十数メートルというところだ。これでは狭すぎる。

俺は、ならし工事のかわりに、竜巻を使う。


(竜巻、level4!)


荒れ狂う暴風は森の奥に向かいながら、森の木々を次々に薙ぎ払う。

根っこから引き抜かれた良質な木は、後で木材に加工することにする。

竜巻一発で、大分見通しの良い空間が出来た。

これで、こちら側の面は終了だ。

あと三面プラス各角の部分を整地しなくてはいけない。

作業は急ピッチだ。

一時間もかからずに整地は終了する。

元のミリハイム村の数十倍の面積が整地された。

これから合流するリチャードたちを合計しても二百人程度しかいないのに、千人以上住んでも大丈夫そうな広大な土地だ。



「少し広すぎたかな? まぁ、狭いよりはいいだろ」



整地が終わると、今度は外側の城壁に取り掛かる。さすがに、一回の地の魔導でできる城壁の範囲はたかが知れていたが、数回繰り返すと、元のミリハイム村の城壁にも負けずとも劣らないものが完成する。

さすがに、広すぎる敷地に出入り口が1つでは不便かと思い、城壁の東西南北にそれぞれ出入り口となる門を造る。

門には、それぞれ東西南北にちなんで、青龍、白虎、朱雀、玄武といった四聖獣を誂えてみたりと、造形にも少し拘ってみた。

因みに、東西南北の方角は検索の魔法で調べたので間違いないはずだ。

俺は今、南の朱雀門の前に来ている。

ここから順番に区画を整理していこうと思う。



「いよいよ、家造り開始だな」



俺は、家を造るために地の魔導を使う。

イメージしやすいように名前があっ方がいいな。

服を造るのがドレスメイクなのだから、家を造るのはハウスメイクでいいだろう!


(ハウスメイク!)


一回目のハウスメイクで、一階部分ができる。二回目のハウスメイクで、二階部分が完成する。

モデルルームで見てもらったのと同じか、それ以上の家にしなければ、村人たちに何か悪い。

それから俺は、ひたすら同じ作業を繰り返した。

そして、造った家が二百軒になったところで、ようやく作業を終了する。

時間にして、小一時間。

俺が、新ミリハイム村の工事に取り掛かってから、すでに四時間近くの時間が経過している。

むしろ、たった四時間でこれだけの作業をこなすっていうのは、十分に称賛に値するだろう。

俺はやり遂げた!

……体的にはしんどくなってきたが、魔力的にはまだ底に達した気はしない。

俺がミリーから受け継いだ魔力は、いったいどれだけあるのだろうか?

まぁ、それの確認はまたでいいか。

引っこ抜かれた木々は、光の魔導のレーザーで板状に加工してあるし、村人が家具や内装に使えるようにしてある。

不足するようなら、まだまだ追加も可能だ。

これでようやく、メインに取り掛かれる。


俺は、村……いや、この規模なら十分に町といってもいいだろ。町の中央にある旧ミリハイム村のさらに中心に行く。

ここは、皆が集まれるようにと、元から小さい広場のようになっていた。

俺は、そこに池を造る。


地の魔導を使い、地面を変質させ窪みを造る。水源としても使うのならある程度の大きさと深さが必要だろ。

そして、森まで引いていた水路をさらに延長して城壁を潜らせこの池にまで引いた。



<……お兄ちゃん、来たよ……>



泉から引いてきた水路を伝い、雫も池にやって来た。



「どうだ、俺の造った池の住み心地は?」


<……少し濁ってるけど、自分でキレイに出来るし大丈夫。ただ、もうちょっと、お水があったほうがいい。お兄ちゃん、ここのお水を増やしてもいい?……>



自分でキレイにする?

水を増やす?

そんなことを雫が言い出した。



「いいが、そんなことが出来るのか?」


<……うん……>



雫がその大きな瞳を閉じて念じると、三分の一程度しかなかった池の水が、みるみる満杯になり、しかも雫のいた泉のように透明度を増していた。



「雫、すごいな!」


<……えへへ。他にも、お水の流れを動かすこともできるんだよ♪……>


「本当か!雫はすごいんだな!」



俺に褒められたからか、雫はヘニャって顔で笑ってくれた。どうしよう、メッチャ可愛い!

単なる癒し系というだけでなく、雫はやればできる子でもあるらしい。

雫の能力があれば、夢の上下水道の整備もできるかもしれない。

まだまだ住みやすいとは言えないが、それは今後の課題だろう。


これで、粗方、新しい住民たちを迎え入れる準備は整ったはずだ。

新ミリハイム村の門出。

今晩は、きっと朝まで宴会だろう。



「ふわぁぁ~、そういや、今日も朝早かったもんな」


<……お兄ちゃん、眠そう、雫もここで寝る……>


「そんじゃ、二人で昼寝するか」



俺は疲れと、今日の宴会のために寝溜めしておくことにする。

その場でごろりと横になると、僅か数分で眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ