俺と魔導と師匠と
夜の海岸。
魔導師少女のシフォンに師事して10分。
「ファイアショット!」
炎の球が飛んでいく。
俺は魔導を体得していた。
「あのさ、シフォン。すごく言いにくいんだが、できたみたいだぞ?」
「嘘でしょ……」
師匠のはずのシフォンは信じられないという顔をしている。
そりゃそうだ。俺だって信じられないのだから。
ここに至るまでの流れを説明する。
まず、魔導を使うためには自分の中の魔力の流れを感じ、手に魔力を集め事象を起こす。俺は今回火を起こしてみることにした。イマジンハンドで、魔力というものに馴染みまくっていた俺の手は、簡単に魔力の流れを掴み火は簡単に起きた。
火は俺の手の平の上で燃え続けているが、全然熱くない。
「や、やるじゃない」
シフォンは褒めてはくれているが、眉がピクピクして顔が少し引きつっている。
内心は穏やかじゃないみたいだ。
「でも、難しいのはここからよ!飛ばすイメージを組み込まなきゃいけないんだから」
「成る程。シフォン、それでイメージを組み込むにはどうすればいいんだ?」
「……私はあなたの師匠よね?」
シフォン、面倒な奴だ。
コホン!
「師匠、どうすればよろしいのですか?」
「ふふん、強くイメージをその現象に刷り込むのよ」
「それだけ?」
「それだけよ」
勿体振ってそれだけか!というと、また臍を曲げられそうなので黙っておく。
イメージ力はともかく、妄想力になら定評のある俺に任せてもらおう。
ドレスメイクの時のような雑念もない。
俺は、万全を期して冒頭のように魔導を使ったのだ。
結果はさっきの通り成功。
シフォンは筋の良い弟子をもって幸せかと思いきや、俺を殺すんじゃないかってくらい睨み付けてきた。
「何でできているのよ!私なんてどれだけ苦労してイメージをできるようになったと思っているの!」
「それは……」
俺は少し答えにつまり考える。
多分、ゲームをしたり漫画を読んだことがある奴なら、このくらいのイメージは簡単にできるはずだ!なんて言ったら、とんでもないことになりそうだ。
「え~と、それは師匠であるシフォンの教え方が良いからだろう?」
<さすがはシフォンだ。こんな短時間で、もうマスターさせるとは俺様の自慢の部下だな>
「そ、そんなこと……あるかもです♪」
なんとも調子のいいシフォンだった。
だが、魔導というものは大体わかってきた。イメージするだけで応用がきくなら今後色々できそうな気がする。
これからが楽しみだ。
そうだ、
「もういっちょ試してみるか」
俺はもう一度手に魔力を集めると、火を起こす。そして、イメージをする。
力強い翼を羽ばたかせた、不死鳥。
フェニックスのつもりだが、大きさは精々カラス程度といったところか。
<ほう、面白い魔導だな。生物のような不規則な動きもできるようだし、使えそうだな>
《兄貴、すごいっすよ!》
うちの魔王少女ミリーと勇者ハルも驚く出来のようだ。
「だろ。なかなか成功したんじゃね?」
気分は、カ○ザーフェニックスだ。
そのネーミングは色々不味そうなんで、ファイアフェニックス?いや、今のところはファイアレイブンというところでいいだろう。
「何よ!何なの!今のどうやったの?何か炎の鳥が翔んでったんだけど!」
うちの師匠が慌てている。
優秀な弟子をもったシフォンにちょっとだけ同情した。
しょうがない。
今夜にでもシフォンにもアニメを見せて勉強させるか。
気分はもう弟子ではなく、師匠のような感じだ。




