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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
29/78

俺と魔導と師匠と

夜の海岸。

魔導師少女のシフォンに師事して10分。



「ファイアショット!」



炎の球が飛んでいく。

俺は魔導を体得していた。



「あのさ、シフォン。すごく言いにくいんだが、できたみたいだぞ?」


「嘘でしょ……」



師匠のはずのシフォンは信じられないという顔をしている。

そりゃそうだ。俺だって信じられないのだから。


ここに至るまでの流れを説明する。

まず、魔導を使うためには自分の中の魔力の流れを感じ、手に魔力を集め事象を起こす。俺は今回火を起こしてみることにした。イマジンハンドで、魔力というものに馴染みまくっていた俺の手は、簡単に魔力の流れを掴み火は簡単に起きた。

火は俺の手の平の上で燃え続けているが、全然熱くない。



「や、やるじゃない」



シフォンは褒めてはくれているが、眉がピクピクして顔が少し引きつっている。

内心は穏やかじゃないみたいだ。



「でも、難しいのはここからよ!飛ばすイメージを組み込まなきゃいけないんだから」


「成る程。シフォン、それでイメージを組み込むにはどうすればいいんだ?」


「……私はあなたの師匠よね?」


シフォン、面倒な奴だ。

コホン!


「師匠、どうすればよろしいのですか?」


「ふふん、強くイメージをその現象に刷り込むのよ」


「それだけ?」


「それだけよ」



勿体振ってそれだけか!というと、また臍を曲げられそうなので黙っておく。

イメージ力はともかく、妄想力になら定評のある俺に任せてもらおう。

ドレスメイクの時のような雑念もない。

俺は、万全を期して冒頭のように魔導を使ったのだ。

結果はさっきの通り成功。

シフォンは筋の良い弟子をもって幸せかと思いきや、俺を殺すんじゃないかってくらい睨み付けてきた。



「何でできているのよ!私なんてどれだけ苦労してイメージをできるようになったと思っているの!」


「それは……」



俺は少し答えにつまり考える。

多分、ゲームをしたり漫画を読んだことがある奴なら、このくらいのイメージは簡単にできるはずだ!なんて言ったら、とんでもないことになりそうだ。



「え~と、それは師匠であるシフォンの教え方が良いからだろう?」


<さすがはシフォンだ。こんな短時間で、もうマスターさせるとは俺様の自慢の部下だな>


「そ、そんなこと……あるかもです♪」



なんとも調子のいいシフォンだった。

だが、魔導というものは大体わかってきた。イメージするだけで応用がきくなら今後色々できそうな気がする。

これからが楽しみだ。

そうだ、



「もういっちょ試してみるか」



俺はもう一度手に魔力を集めると、火を起こす。そして、イメージをする。

力強い翼を羽ばたかせた、不死鳥。

フェニックスのつもりだが、大きさは精々カラス程度といったところか。


<ほう、面白い魔導だな。生物のような不規則な動きもできるようだし、使えそうだな>


《兄貴、すごいっすよ!》


うちの魔王少女ミリーと勇者ハルも驚く出来のようだ。


「だろ。なかなか成功したんじゃね?」



気分は、カ○ザーフェニックスだ。

そのネーミングは色々不味そうなんで、ファイアフェニックス?いや、今のところはファイアレイブンというところでいいだろう。


「何よ!何なの!今のどうやったの?何か炎の鳥が翔んでったんだけど!」



うちの師匠が慌てている。

優秀な弟子をもったシフォンにちょっとだけ同情した。


しょうがない。

今夜にでもシフォンにもアニメを見せて勉強させるか。

気分はもう弟子ではなく、師匠のような感じだ。






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