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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
26/78

新しい一日の朝

微睡む世界。


俺は眠っていたようだ。

昨日は遅かったし、しょうがない。

まだバイトまで時間があるしもう少し寝るとしよう。

そして、寝返りを打つ。

手を伸ばすと、指先が何かに触れた。

これは何だろう?

うちにこんなものあったかと考えるが、ボーッとした頭ではわからない。

揉んでみると、それはかなり柔らかかった。

本当に柔らかい。


「!」


柔らかい……しかも、この丸み!

俺はある確信をもって目覚ます。

まさか、これはお約束の!!!



俺の手はゴムボールを握っていた。

何でやねん!!!

思わず、関西人バリに突っ込んでしまった。

ここは普通お約束ってものがあるはずだが、俺には適用されないようだ。


俺は隣を見る。


シフォンは毛布にくるまり、今も幸せそうな寝息を立てていた。

白に近い銀髪、今は閉じられているけどその瞳は青く、どこか北欧系を感じさせる美少女だ。歳は十五、六歳というところか?

本当に可愛い子だと思う。

見ていて飽きるということがない。

しかも、この俺の長年使い込んだ毛布の下は……裸のはず。



<夜這いか?>


「!!!」


背後から声をかけられ、俺はここ数年で一番の驚きを味わった。

心臓がキュッとなったじゃないか!



「ミリー、いるなら、いるといっといてくれっ!」


<何を言っている?俺様は、お前の体に居候させてもらっているのだから、ここにいるのは当たり前だろ>


「まぁ、そうだよな」



うちの魔王少女ミリー。

異世界で倒されたミリーの魂は、此方の世界にやって来たときに、仮死状態だった俺の体に入ることになった。精神体で動くことはできるが、普通の人間に見ることはできない。

と、まぁ少し話がそれた。


「なあ、ミリー。なんで、俺がシフォンを襲わなければいけないんだ?確かにシフォンは可愛いが、昨日殺しあいをした仲だぞ。……確かに、この毛布の下は裸で、スッゲ気になるが」


<あれを見ろ>


「ん?」



見ると、シフォンのくるまっている毛布に頭を突っ込んでいる少年が一人。

変態勇者ハルだ。

ハルは、外見は十歳の少年だが、その正体はハルバートって種類の戦斧に宿った意思から生まれた精神体で、生物ですらない。

それなのに、こいつは時々……いや、常時、生身の独身男の俺すら凌ぐスケベ心を発揮する。



《兄貴、ここに男たちの理想郷が存在しますよ》



俺の起床に気が付いたハルが満面の笑みで語りかけてきた。

少しだけ羨ましいと思ったのは内緒だ。



「ミリー、久し振りにイマジンハンドいっとくか?」


<まぁ、良かろう>


《あれ、兄貴どうしてそんな恐い顔しているんです?》



(イマジンハンドlevelMAX)


俺の拳が、ミリーの魔力によって紫の光に包まれる。俺の手にも激痛が走るが問題ない。

俺の嫉妬心はそれ以上なのだから!


《あの、俺、なんかしました?》


「気にするな。ただの俺の憂さ晴らしだ。あの氷の巨人とも一緒にやり合った仲じゃないか。勿論、付き合ってくれるよな?」


有言の圧力で迫る。


<よく言う。己のスケベ心をまぎらわせたいだけだろう>


「ミリー、煩い!」


《えっ!兄貴、それってどういう……ギャァァァァ!》


<男の嫉妬は顔に醜く出るぞ>


「ほっとけ、元々それなりの顔だ」


<全く、素直になれば良いものを>



魂の繋がりによって、俺の心情を読み取れるミリーは呆れ顔だ。



<本当に騒々しい朝だな>



こうして、今日も一日が始まった。





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