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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
24/78

アイスメンタル

俺は今、夜の海岸で魔導少女シフォンを相手に決闘を行っている。


うちの魔王少女ミリーは完全に観戦モード。



元の異世界で、ミリーの側近だった氷の魔導を操るシフォンは強敵で、しかもアイスメンタルという独自の魔導で恐怖心や慈悲の心まで強制的に失っており、全く自分に対しても相手に対しても容赦がない。



「アイスショット×5」


五個の氷の塊が、多方から俺を襲う。


「くそ、竜巻level2!」


俺は自分を中心に直径四メートル程度の風の渦を発生させ、風の障壁を作る。

氷の塊は、あらぬ方向へと弾かれていく。


その風の障壁が消えると同時に、シフォンが飛び込んできた。

本当に今のこいつに恐怖はないようだ。

今のだって、少しでも飛び込むタイミングが早ければ、風の障壁に生身でぶち当たっていたところだが、全然気にした様子はない。


「アイスランス」


氷の槍を作り出し、勢いそのままに突きだしてくる。


「危なっ!」


緊急テレポートでなんとか回避。

だが、このままでは負けないまでも絶対に勝てない。



《兄貴、ここは俺に任せてください》


いつもの少年の姿から球体に戻り、本体である戦斧に憑依しているハルが、自信ありげに声をかけてきた。


「大丈夫なのか?」


《はい!》


ハルが言うが、少し心配だ。

だが、いい案も浮かばないし、一度任せるのもいいかもしれない。

ハルは腐っても勇者なのだから。



《兄貴、先ずはあの娘をよく見てください》


「わかった」



俺はハルに言われた通り、シフォンをよく見て観察する。


白に近い銀髪で、青い瞳。

アイスメンタルで今は無表情って言うか、無機質な表情になっているが、やはり顔立ちは整っている。

歳は十五、六ってところか。

ポンチョのようなローブを纏い、いかにも魔導師や魔法使いという格好だ。



「おい、ハル。よく見たぞ!これでどうなるんだ?」


《兄貴、俺の見たところ、あの娘のローブの下は裸です!》


「…………」


前言撤回。


ハルは腐っても勇者ではなくて、腐った勇者のようだ。今が戦闘中でなければ制裁を加えているところだ。


シフォンのローブの下が裸なんて情報、今なんの役に立つんだ!

ローブの下が裸なんて…………。

ヤバイ、戦いの最中だってのに、想像してしまったじゃないか!


いつの間にかシフォンに肉薄されてしまっていた。


「ハル、今のマジでやばかったぞ!さっきの話が今どんな関係があるんだ!」


《よく見てて下さいよ》


すれ違いざまに、シフォンのポンチョのようなローブの脇が切り開かれる。

そこには、白い素肌が覗いていた。


マジで裸なのか!


思わず、シフォンのローブの胸元あたりをガン見してしまう俺。



《兄貴、やりました!俺と兄貴の共鳴率が80%を越えました。二つ目の奥義が使えますよ!》


「…………」



くそ、喜ぶべきなんだろうが、エロいことで共鳴率が上がるなんて、俺がハルと同レベルの変態みたいで、なんか嫌だ。

そんなことを思っているのを悟られないように話を変えておく。



「それで、二つ目の奥義ってのはどんな技なんだ?」


《魔鏡閃て言って、魔導を相手に倍の威力で返す技です!》


「今の俺たちには好都合だな!」


《はい!》



俺たちの準備ができたことを知らずに、シフォンが距離をとる。

大技を使うようだ。



「アイスプリズン」


《兄貴、今です!》


「魔鏡閃!」



戦斧を水平に構え叫んだと同時に、俺の前に薄い膜のようなものが出現する。

その膜は凍気をすべて包み込むと一旦収束し弾けた。

俺を襲うはずの凍気の奔流が、倍の威力でシフォンに降りそそる。

辺り一面が真っ白な感じだ。

荒れ狂う凍気が収まってくると、次第に視界が開けてきた。

まだはっきりとは見えないが、そこには自分の魔導で氷の塊に閉じ込められたシフォンが辛うじて見えた。



《やりましたね、兄貴》


「やったな、ハル…………って、へっ?」



視界が完全に晴れて見えてくると、氷の柩の中のシフォンは全裸だった。

俺たち、なんかやっちまったらしい。



《……まぁ、兄貴。これでこの娘の心も折れるでしょうしいいとしますか?》


「……そうだな」



年頃の女の子が、全裸で身動きもとれずに氷のオブジェ状態なんて、トラウマどころの騒ぎじゃないはずだしな。



<お前たち、見事だったぞ。アイスプリズンは、閉じ込めた相手を強制的に武装解除させる効果もあるからな。よく今のを凌いだな>



さっきまで観戦モードだったうちの魔王様ミリーの説明によると、一般的な装備品とかは、全て凍気によって砕かれるらしい。



<だが、まだシフォンのほうも終わってはいないようだぞ>


「何っ!」



みると、氷の柩に閉じ込められながらも、青く冷たい瞳は確実に俺をとらえていた。

その瞳に羞恥の色はなく、あるのはあくまでも俺への冷たい殺意のみだ。

氷の柩は、シフォンの静かな魔力の高まりに応じ、少しずつヒビが入ってきている。



羞恥心もなくなってるなんてウソだろ。

アイスメンタル厄介すぎるぞ。


それが俺の正直な感想だ。












うまく纏まってないなと思いながら、いつものことかぁ、と開き直っております。

ハルの奥義二つ目も決まり、少しずつ戦えるようになってくれたら嬉しいなと書いております。



乱文でやや長いという読みにくいものですが、読んでくれた方ありがとうございます。

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