表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
23/78

シフォンの二つ名

俺たちは、毎度お馴染みの海岸に来ていた。


この海岸も、ハルとの出会いや爆発騒ぎで、警察を呼ばれる騒ぎになったりと、いろんな思い出が出来たよな。

感慨深い。

そして、今夜もまた思い出が1つ追加されそうだ。俺と対峙する、魔導師の少女シフォンによって。



「勝負のルールはどうするんだ?」


「私とあなた、どちらかが死ぬまで」


「ダメだ!」



シフォンの案は即却下!

死闘を演じる気は更々ない。



「普通そういうのって、参ったと言うか、戦闘不能になるまでとかだろ?」


「嫌。それじゃあなたを殺せない」



シフォンは、本気で俺を亡き者にしようとしているようだ。

だって、目がマジだし!



<とりあえずは参ったと言うか、戦闘不能になるまでってことで良いだろ?勝負は、俺様が見届けてやる>


「わかりました」



俺のときと違い、ミリーに言われたら一瞬で納得しやがった。

シフォンは本当にミリーのことを慕っているのだ。そんな敬愛するミリーをこんな俺に盗られて……。

俺も両親を亡くしてから一人での生活が長い。シフォンの気持ちはわからなくもなかった。ここまできたら、戦いを避けるのは無理かもしれない。

俺は腹を括る。



「おい、人間!」



シフォン、お前も人間だろ!とは思ったが突っ込まない。



「脆弱そうなお前に、せめてもの情けだ。勇者と共闘してもいいぞ」



自信過剰過ぎじゃないか?

俺は、視線の先にシフォンを捉えたまま、ミリーに思考で確認する。



(なあ、ミリー。シフォンは強いのか?)


<魔力は人間だから、中の上ってところだが、魔導に関しては天才だな。戦闘経験もそれなりにあるし、青銅級の勇者とその使い手程度では相手になるまい>


(成る程、それだけの強さをもっているなら、あの自信にも納得だ)


<では、始めるぞ>


「了解」


(フィジカルブースト)



俺は、ミリーの合図とともに、フィジカルブーストを発動。

それとほぼ同時に、シフォンの体も一瞬光る。

何か魔導か能力を使ったみたいだが、なにも起きないところをみると、攻撃ではないようだ。俺のフィジカルブーストみたいなもんだろうか?

とりあえず、戦闘準備を整えておく。



「こい、ハルバート!」



遠くから一筋の光がやって来る。

俺の手の中に、ハルの本体である戦斧が握られる。

前回呼んだときには、押し入れの壁をぶち抜いて飛んできて帰ってからが大変だったが、今回は大丈夫。ちゃんと窓辺に立て掛けて飛んできやすいようにしておいた。

さて、準備は完了だ。

俺たちは動き出す。

先ずは相手の出方を見るため、横へ移動。



「アイスショット!」



シフォンの短い詠唱で、俺に向かい鋭利な氷の塊が飛んできた。

だが、かなり速いはずのの氷の塊も、増幅されている俺の動体視力には止まって見える。

難なく戦斧で迎撃し砕く。

しかし、相手はそれも予想の範囲みたいだ。



「アイシクルライン!」



今度は俺に向かって、地面を凍気の波動がかけ抜けてくる。



《兄貴!》


「わかっている」



これは受けるとヤバそうだ。

俺がテレポートで避けると、波動が通った軌跡だけが凍っていた。



「そろそろ、こっちからも仕掛けてみるか。先ずは、これだ」


(竜巻、level1)


シフォンに向かい、風の渦を放つ。



「アイスウォール」



淡々と魔導を紡ぐシフォンの前に、氷の壁が出現。風の渦を簡単に防いでみせた。


「もう一度」


再度、風の渦をぶつけると氷の壁は音を立てて崩れた。



「…………」



この間の攻防の間、シフォンは言葉を発しない。まるで、人形、いや機械のようだ。



「ハル、奥義いってみるぞ!」


《兄貴、マジですか!さすがにあの娘、死んじゃうんじゃないですか?》


「だったら、ちゃんと当たらないように調整してくれよ」



俺は戦斧を振りかぶる。


(闘気斬)


上段から降り下ろすと、青い光の刃が迸る。

ギリギリ、シフォンの横をかすめるくらいの距離を狙った一撃だ。

うまくいけば技の余波で、バランスくらい崩してくれるはず。



だが、シフォンは慌てることなく横へステップし紙一重で回避する。

少しでも目測を誤れば、即死なのに。

シフォンには恐怖心というものはないのか?




「いくらなんでも、落ち着きすぎじゃないか?」


<それが、今シフォンの使っている魔導の能力だからな>



ミリーが、いきなり説明してきた。



<シフォンが自分で編み出した、氷の精神系魔導、アイスメンタル。自分の思考を強制的に固定し、戦闘中に動揺や恐怖を抱くことなく戦うことの出来る、まさに氷のような心となる魔導だ>


「氷のような心って怖すぎるだろ。もしかして、相手への慈悲ってのもなくなったりするのか?」


<無論だ!>



ミリーが肯定してくれるが、なんのプラス材料にもなりはしない。



<シフォンの二つ名は、『氷の機械人形』だからな>



なんの捻りもないじゃねえか!って突っ込みたいが、当の『氷の機械人形』の二つ名を持つシフォンを相手に、そんな余裕はなかった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ