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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
21/78

新たな訪問者

 俺は出掛ける当日、結局いつもの服を着ていた。

 しっかりとイメージ出来たのが、これだけだったからだ。でも、美樹ちゃんは気にしていないようだ。



「今日は、お世話になっている小林さんに美味しいケーキを食べて欲しくって」



 今日、俺は美樹ちゃんと2人でケーキバイキングに来ていた。

 テーブルには、同じ弁当屋でバイトする美樹ちゃんのおすすめケーキが並べられている。

 俺の向かいに座る美樹ちゃんは、バイトの時と同じ、いやそれ以上の笑顔で癒される。



「さぁ、どうぞ」

<美味い!>

「確かに美味い」



 本当に美味しいケーキだった。

 周囲は、女友達やデートの客がほとんど。

 うちの魔王少女ミリーや勇者ハルは精神体のため普通の奴には見えていない。

 他所から見たら、ひょっとしたら俺たちもデートに見えただろうか?


 いや、俺と美樹ちゃんでそれはないな。



<あれも食ってみたい!>

《姉御、あっちの赤いヤツなんかも旨そうですよ!》

<ほんとだな。あれも食いたい!>



 はいはい。

 俺と体を共有し、味覚も共有しているうちの魔王少女ミリーも喜んでくれているようだ。

 ミリーやハルは精神体であり、声が聞こえないことを良いことに騒ぎまくっている。

 明日から、しばらくうちの食卓が貧しくなるかもしれないが、みんなが喜んでくれたなら良かった。



「一度、ちゃんと小林さんにはお礼しなきゃって思ってたんですよね。ほら、夜に倒れていた私を助けてくれたことがあったでしょ?他にも突然休んだりして迷惑をかけたこともあったし」



 前にハルに操られていたときのことか。

 ハルを見ると、ばつが悪そうに隠れている。



「気にしなくて良いのに」



 原因は俺たちで、元凶はハルなのだから。



「ありがとうございます」



 満面の笑みで答える美樹ちゃん。

 それなりに良い雰囲気だ。

 俺の好感度も上がったんじゃないだろうか?

 美樹ちゃんの中で、好感の持てるオッチャンランキング上位入賞できるかもしれない。



「おいしかったですか?」

<満足だ!>



 俺より先にミリーが答えるが、その声は美樹ちゃんには届かない。

 だが、ミリーの答えに依存はない。



「勿論!」

「良かった」



 さて、美樹ちゃんの時間をこれ以上使わせるのも悪いしな。そろそろ帰るとするか。



「そろそろ、出ようか」

「はい、今日はありがとうございました。また付き合ってくださいね」

「ああ、良いよ」



 うちの一週間分の食費相当の代金を支払い店を出ようとする。



「あの、小林さんて彼女とかいたりするんですか?」



 美樹ちゃんがそんなことを聞いてきた。

 さすが、年頃の女の子。

 こんなオッチャンの恋愛事情まで気になるとは。

 俺は、勿論いるはずないだろうと答えようとしたが、それはできなかった。



「やっと見つけた…………ずっと探してたんですよ」

「へっ!」



 店を出たとこで、いきなり他の女の子に声をかけられたのだ。

 そのままその子は俺の胸に飛び込んでくる。

 隣にいる美樹ちゃんも突然のことに驚いているようだ。

 勿論、俺も驚いている。



「小林さんの知り合いなんですか?」

「いや……」

「あんた誰?」



 女の子が、美樹ちゃんを睨みながら問いかける。

 というか、早く俺の胸から離れてほしい。

 美樹ちゃんの笑顔に、いつもの温かさがない気がする。

 まぁ、それは気のせいだろ。



「私は小林さんの職場の同僚で、小野寺美樹といいます」

「ふーん」



 品定めされるような視線を向けられているが、美樹ちゃんは俺の知り合いと思っているようで、丁寧に対応してくれている。

 有り難いが、1つ問題があった。

 それは、俺自身に全く心当たりの人物がいないということだ。



「それで、あなたは誰なの?」

「へっ?」



 それを俺に抱きつきながら、俺に向かって聞いてくるのか。

 そういう君こそ誰?というのが、俺の感想だ。


 少し変わったポンチョのような服を上から着た、十代半ばとおぼしき少女。

 白髪に近い銀髪で、ブルーの瞳。

 顔は間違いなく美少女と言っていいだろう。


 こんな子、一回会ったら絶対に忘れられないはずだ。


 まるで、魔法使いのような格好をしているが、今はハロウィンでもなければ、コミケの時期でもない。


 ……魔法使いって、まさか。


 嫌な予感がする。



<シフォン!>



 さっきまでケーキの余韻に浸っていたミリーが叫んだ。



(ミリー知っているのか?)

<俺様の側近だった魔導師だ>

(…………ああ、やっぱりな)



 こうして、俺の周りのファンタジー世界は広がりをみせた。





北欧系の美少女をイメージしたシフォン登場です。


ようやく、主人公以外に生身の肉体を持つキャラクターを作って見ました。


次回の投稿も急いでいけるようにしてみたいです。

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