ハルの能力検証
俺は、夜の海岸に来ていた。
ここに来て訓練をすることは、今や魔王少女ミリーの下僕と成り下がった勇者ハルが、俺の体で共同生活するようになってからも日課になっていた。
《兄貴、周囲に人影はありません》
ハルが周囲の情報を報告してくる。
そんじゃ、一発いっとくか。
(テレポート)
「だいぶ距離が伸びたな」
移動距離は30メートル。
なかなかのものだ。
ただ、ここまでテレポートの移動距離が伸びてくると問題も出てくる。
いきなり目の前の景色が、違うものになるのだ。普通の脳では処理が追いつかない。
空間酔いとでもいうのだろうか?激しい頭痛と吐き気と目眩に侵される。
そこで役立つのがフィジカルブースト。
今では、100メートルを5秒台で走れるだけでなく、思考の速度もかなり強化されていた。
連続テレポートにも空間酔いなど全くしなくなった。
ハルとの戦いの時には、フィジカルブーストを先に使っていたから良かったが、先に連続テレポートをしていたら空間酔いにより戦闘不能になっていたかもしれない。
いつものメニューを終えると、俺は今日の本題に取りかかる。
今日の本題、それはハルの能力検証だ。
体を共有し、魂が繋がっているミリーの能力を使えているということは、強制的にとはいえ、俺と繋がっているハルの能力も使えるはずという結論に至ったったのだ。
<確かに、使えるかもしれんな。勇者の能力とはどんなものか楽しみだ>
ミリーも俺の使おうとする勇者の能力に興味があるようで、いつものゴシックドレス姿で空中に胡座をかき観戦モードである。
《とりあえず、自分の本体は兄貴が呼べばやって来ると思いますよ。名前を言って念じるだけでOKです》
ハルが能力の使用方法をレクチャーしてくれる。
武器が呼べばやって来る!
ほうほう、それは面白そうだ。
「こい、ハルバート!」
ノリノリで呼んでみた。
夜空を駆ける一筋の光。
俺の目の前の地面に、押し入れにしまっていたはずのハルの本体である戦斧が突き刺さっていた。
どうしよう。胸がメッチャときめく!
呼んだらくる武器とか、カッコ良すぎる!
ハルバートを手に取ると意外なほどに軽い。
「メッチャ軽いんだが、フィジカルブーストのせいなのか?」
《それは、自分が兄貴と繋がっているからですよ。自分と波長の合う使い手は魂を繋ぐことで自分の体の一部のように勇者になった武器を使えるんです》
「何かお前と波長が合ってるって言われているようで気分が悪いな……」
《兄貴、酷っ!》
ハルは心外なようだ。
だが、こんな扱いをされてもしょうがないだろう。
コイツは今でこそ、ミリーの下僕のようになってはいるが、前に美樹ちゃんにしたことを忘れた訳じゃない。
《そんなことを言ってていいんですか?
兄貴、姉御を見てください》
「?」
「いったい、ミリーがどうしたって……!」
俺はミリーを見上げ、驚愕して息を呑んだ。
まさか!!!
<?>
いきなり俺たちが自分を見上げるものだから、ミリーは不思議そうにしている。
ミリーは俺たちのやり取りを見ながら宙に浮いていた。いつものゴシックドレス姿で胡座をかいて……。
胡座をかいているため、ゴシックドレスの裾が大きく広がり、その中身をオープンにしている。それを下から見上げると、ミリーの下着が丸見えなのだ。上品な水色の下着が……。
元々、性別のないミリーは下着を着けるという習慣はなかった。
「いったい、いつの間に下着なんて……」
いつもは、つるりんことしている大事な部分が、今は下着に隠されている。
だが、こうも薄布に隠されただけでエロさが上がるとは……恐るべしチラリズム。
思わず見入ってしまう。
《最近、気に入っているアニメの影響もあって、姉御にドレスメイクで下着も着けるんをオススメしたんですよ。なかなか良いもんでしょ♪》
見た目は10歳くらいの少年にしか見えないハルが、エロ親父のようなことを言ってくる。
ハル、恐るべし。
それにしても、これもハルの能力ということになるんだろうか?
波長はともかく、ハルと俺の趣味は合いそうだ。
相変わらず、アホっぽい文章ですが、自分としては書いてて楽しいです。
こんな自己中で己の欲望至上主義な文を読んでくださった方ありがとうございます。




