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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
15/78

美樹の事情

 私の名前は小野寺美樹、18歳。


 私は近所のお弁当屋でアルバイトをしながら専門学校に通っている。

 私は最近、気になっている人がいる。

 同じお弁当屋でアルバイトをしている男性だ。


 小林恭介さん、26歳。


 小林さんは、少し前に自転車で事故に遭って、一時は心配停止にまでなったらしいけど、奇跡的にも今も元気に生きている。


 本人は大したことないって言っていたけど、やっぱりひどい事故だったんだと思う。

 だって小林さんの行動が事故前と事故後では違うんだもん。



 小林さんは事故後、職場に復帰してすぐの頃、よく何もない空中を眺めてはしまりのない顔をしていた。

 まるでエッチなことを考えているような、そんな顔。

 正直、気持ち悪かった。

 でも、本当にエッチかというとそうでもないのかも。


 だって、私自身どうしてそんなところに行っていたのかわからないけど、普段昼間でも行ったことがない海岸に、夜に裸同然で倒れている私を助けてくれたことがあるんだもん。

 破れた服が、すごい血まみれだから心配したみたいだけど、実際に傷は殆どなかったっぽい。


 それに、自分の体だからわかるけど、絶対に変なことはされていない。


 私の格好が裸同然だったから、アルバイト先の店長夫婦の家に連れていってくれて、自分では送り届けなかったようだけど、あとになって店長の奥さんに聞いたら、その事をそっと教えてくれた。


 気を失っている私を抱えて店長の家に行くって大変だったと思う。

 細く見えるけど、意外と力もあるのかも。

 私が無断欠勤したときは、あり得ないくらいのスピードで仕事をこなしたらしいし。

 何か、こうして考えてみると小林さんには助けてもらってばかりいるみたい。


 でも、小林さんに助けられたのはそれが初めてじゃなかった。

 小林さんは覚えてないだろうけど、私が小学生の頃、お使いにきた私がコロッケを落としてしまったことがあった。

 それに気付いた小林さんは、



『店長、俺がコロッケをダメにしちゃったんで、残り二個です。追加お願いします。代金はバイト代から引いといて下さいね』



 ……って言ってくれた。

 あとで店長にバイトのくせに人助けか? そんなものは店長の仕事だ!って、訳のわからない怒られ方をしてたんでよく覚えている。

 優しい笑顔が今でも忘れられない。

 おっきくなったら、この店で働きたいと思って、今は本当にここにいるんだから、私もすごいと思う。


 それから仕事にいっても、小林さんは全然その事に触れてくることもないし、恩に着せることもないんだよね。

 時々、仕事中も小林さんのことを見てしまう。


 小林さんは奥で倉庫の整理中。



「だ~か~ら、お前ら昨日のアニメの話は家に帰ってからやれ」



 今日も盛大な独り言をいってる。

 そんなところも初めは変って思っていたけど、今では少しだけ面白いと思ってしまう。


 だって、本当にあと二人くらいの人間がそこにいるみたいに自然に話してるんだもん。

 時々聞こえるミリーやハルって、その人たちの名前なのかな?



 前に店長の誕生日ケーキのお裾分けで、すごく喜んでいたみたいだし、今度助けてもらったお礼におすすめのケーキでも一緒にどうですかって誘ってみようかな?

 今は同じアルバイト仲間だし、それくらいは誘っても普通だよね。



 よし、そうしよっと♪








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