お仕置き
俺は、左手に握られた青い光の球体を見る。
今は勇者に逃げられない程度にイマジンハンドのlevelを押さえている。
「コイツが勇者なのか?」
<そうだ>
異世界の魔王少女ミリーが言うのだ。
どうやら、本当にこれが勇者らしい。
《俺にこんなことしてただで済むと思ってんのか》
生殺与奪の権利が俺たちにあるというのに堂々と悪態をついてくるあたり、流石は勇者というだけはある。たいした勇気だ。
反省が足りない。
「ミリー、(イマジンハンドの)levelをMAX」
<了~解♪>
球体を掴んでいる俺の左手の紫の光が増す。
もちろん、俺も痛いが相手はその比ではない苦しみが襲っているらしい。
《ガァァァ、悪かった。……いや、自分調子に乗ってましたっ!すんませんしたっ!》
泣きをいれてくる勇者。
だが、そんな言葉じゃ誠意は伝わらないな。
一端、イマジンハンドのlevelを落とす。
どれだけの苦痛も慣れてしまえば、そうでもなくなる。大切なのはどれだけ効率的に苦痛を与えられるかだ。
「ミリー、俺の両手を使ってイマジンハンドのダブルMAXなんていけるか?」
<出来ないことはないぞ>
《……何もできない状態の俺に卑怯だぞ》
勇者が戯言をほざく。
俺のバイト仲間の美樹ちゃんに憑依して操った上に、怪我をさせエロいことをしようとした。
怪我は俺の竜巻で負ったものだが、突っ込ませたのはコイツだ。
極刑が望ましいだろう。
俺がせっかくいい笑顔で微笑みかけているってのに、勇者はどこか怯えている。
《い、いいのか?俺に何かあったら他の勇者が黙っていないぞ》
いかにも小物チックな物言いだが、1つ気になることを口走りやがった。
他の……勇者?
「勇者ってのは一人じゃないのか?」
《…………》
この期に及んで黙秘権とは大したものだ。
まさしくコイツは勇者なのだろう。
「ミリー、ダブルを一発いっちゃってくれ」
<いいのか?>
「ああ、サクッといっといてくれ」
<お前の痛みも倍になるがいいんだな。いくぞ、イマジンハンドlevelMAX>
忘れていた。
イマジンハンドは、俺にも痛みがある諸刃の剣。
向こうの痛みが倍ということは、こちらの痛みも倍。
ということは、
「ミリー、ちょっと待―」
「ギャァァァ」
《ギャァァァ》
俺と勇者の悲鳴が綺麗に重なった。




