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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
11/78

初めての戦いの終わり

(それで、あの勇者(バカ)を美樹ちゃんから引きずり出し、ぶち殺すにはどうしたらいいんだ?)



 俺の視線の先にいる美樹ちゃん。その体は全身傷だらけで、滴り落ちる血は痛々しい。

 俺は逸る気持ちを落ち着かせ、俺の頭上の魔王少女ミリーに問いかける。



<比較的安全に引き離すのと、お前にも激痛があるが奴には激痛などというのも生易しい苦しみを与える方法……どちらがよい?>



 ミリーはイタズラっぽく微笑みながらきいてきた。

 俺と魂で繋がっているミリーは、俺の怒りをわかっている上できいているようだ。



(確かに、今なら死ぬほどの痛みにさえ耐えられそうだ)



 それが、正直な今の俺の精神状態。


 普段なら、インフルエンザのワクチン接種にすらビビる俺だったが、今はそれもない。

 あるのは、早くあの勇者(バカ)を美樹ちゃんの体から引きずり出したいという想いだけだ。



「あいつに最大の苦痛をくれてやる」

<いいだろう>



 ミリーが瞳をさらに紅く輝かせる。



<俺様がお前の手に魔力を集めてやる。それで奴を引きずり出せ。まぁ、お前の手は魔力密度が濃すぎたら朽ちるが、魔力密度が薄すぎては精神体の勇者は掴めんぞ>



 単純な方法で助かった。

 小難しい方法は今の精神状態には厳しいだろう。



<そうだな。イマジンハンドとでも名付けておこうか?使用するlevelはどうする?>

「MAXだ!」



 言うと同時に俺は動き出す。

 どのくらいで腕が使い物にならなくなるのかわからないが、一瞬で勝負を決めた方が良いだろう。フィジカルブーストも最大稼働だ!



「何のつもりだ?」



 突然突っ込んできた俺を勇者は迎撃しようとするが、それなりの流血で身体パフォーマンスの落ちた美樹ちゃんの体でそんなことできるわけがない。

 俺は難なく戦斧の一撃をかわす。



「お前をぶち殺すつもりだよ……!」



 美樹ちゃんの体に肉薄すると同時に、ミリーが俺の左手に魔力を集める。

 紫色に輝く俺の腕……って、ヤバイ、これマジ痛い!!!

 一本一本の骨が内側に押し潰されて、ローラーでゴリゴリと摩られているような激痛。

 少しだけ、カッコつけてMAXと言った自分に後悔する。



<そのまま掴め>

「お前は鬼か!」

<鬼ではない。俺様は魔王だ>

「……そうだったな。……了解! 魔王様」



 ミリーに言われ、俺は美樹ちゃんの胸元にてを伸ばす。

 不思議なことに、俺の手は美樹ちゃんの肌に触れることなく貫通したように見えた。



「!」



 美樹ちゃんの体の中の俺の手に何か触れる。

 それを掴み、強引に引き出す。

 俺の手に握られたそれは、直径30センチほどの青い輝きの球体だった。



「これが勇者なのか?」

<そうだ>

《グァァァ、焼ける、砕ける》



 体を失った勇者は喋れないようだが、わざわざミリーと同様に念話で状況を伝えてきてくれる。

 どこまでも迷惑な奴だ。

 勇者を取り出すと糸の切れた人形のように崩れ落ちる美樹ちゃんの体を右手で抱き抱える。

 メッチャ柔らかいけど、ヤバイくらい冷たかった。



<魔力は提供してやる。お前が治してやれ。方法は漫画やアニメに出てくるような治癒呪文を想像するだけでいい>

「こうか?」



 手をかざし、魔力で治療したところで、ようやく美樹ちゃんの肌に赤みが戻った。

 傷もそのほとんどが消えてきている。



「良かった……………………こほん」



 ……少し目のやり場に困るので、脱いだ上着を美樹ちゃんの体にかけておく。

 これで終わりじゃない。

 俺は、今も念話で悲鳴をあげ続ける勇者に凶悪な笑顔を向けた。



 さて、お仕置きの時間だ。
















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