表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ロスタイム

作者:アタラ。
 私の頭の上で大きなくす玉が割れて、紙吹雪と風船が飛び出してきた。
「卒業おめでとう」という文字が目に入る。

 わああ、という声が上がってみんなは制服のブレザーを思いっきり放り投げた。

 卒業生全員分のブレザーが宙に舞う。圧巻と言えば圧巻な光景。
 ゴメン。
 全員分ってのは間違い。私はそういう恒例行事みたいなのは参加してない。
 気が乗らないのだ。

 今日は中学校の卒業式。
 そして私、片倉メイコの試合が終わる日。終わるはずだった日。
 でも、試合終了にはならなかったみたい。

 私はまだ、――生きている。

 「中学校は卒業できるか分からない」と医者に言われて生きてきた。覚悟もちゃんとしていた。
 だから、これから先は、ロスタイム。
 
 この気まぐれな時間を喜んでいいんのかなは、微妙なところ。
 
 だって、残された時間がどれくらいあるのかは分からない。試合終了の笛はきっと気まぐれ。
 これからの私の人生をサッカーで解説すれば、5対0で始まるロスタイム。
 
 もちろん、負けチーム。
 
 これからどんなに頑張っても逆転はない。後は最後の笛が吹かれるのを待つだけ。
 当然、最後の一秒まで足掻いたりなんか私は絶対にしない。
 
 だってみっともないじゃない? 黙って静かに終わりを待つんだ。
 
 夏の甲子園で、誰が見ても絶対にアウトなのに一塁ベースまで必死に走りこんでいく坊主頭たちは、美しいものなの?
 
 最後まであきらめないで、みんな良く頑張ったなんて褒めるけど、私はそんなのは嫌だ。

 だから、誰も私に頑張れなんて言わないでよね。


一話
2019/04/26 10:16
二話
2019/04/26 10:17
三話
2019/04/26 10:17
四話
2019/04/26 10:18
五話
2019/04/26 10:18
最終話
2019/04/26 10:18
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ