病弱少女
翌日。
成宮高校の校舎裏で棒キャンディを食べていた俺は、青い天井を見つめていた。
だがキャンディじゃあ飽き足らず腹の虫が鳴ったので、早弁をすることにした。弁当箱を開け、卵焼きを口に入れる。
甘辛い味を堪能しつつ、白米をかきこむ。
「あれ? なにしているの?」
「早弁」
「見れば分かる」
少し苛々とした。そんな言葉を俺に投げかけたのはどこのどいつだろうと思い、見遣るとそこにはショートカットのいかにも病弱そうな女の子が立っている。
石段で俺の横に座り、大きめのカーディガンをさらに強く羽織った。
「お前、名前は?」
「緑羽麗って言います」
「いいのか? 緑さんは授業に行かなくて」
「麗でいいよ」
俺は咳払いをし、そのあとも彼女の顔をなるべく見ないように言う。
「えっと……麗さん。授業が嫌なのか?」
「あんまり好きじゃないかな……あっ、そうだ」
すると頬に感触があった。指の腹で押されたのだ。唐突になんだ? 心臓が破裂しそうなほど鼓動が早まったのだが。
「君、あんまり女慣れしてないでしょ。可愛いな」
すると彼女は立ち上がり、次は弁当箱から卵焼きを盗んで頬張った。
「美味しい」
髪をなびかせながら去っていく。俺は呆ける。
「なんだったのか……」
「えーウける~」
スイーツパラダイスでのギャル同士での会話。その三人の視線は甘いスイーツではなく悲しいかな、スマホだ。
「そういえば最近、変態が事件を起こしているそうだよ」
「いつだって犯罪をする奴は変態だって」
「そりゃあそうか!」
三人は大笑いする。それからカスタードプリンを掬って頬張った。あ、これ案外いけるかもなんて思いつつネットニュースの概要を読み込んでいく。
「どうやらさ」
「まだ続けんの? 物好きだね」
「いいから。なんと、犯人はガーターベルトを着用した女性だけを狙うのだ、って。ねえ、実は少し考えがあるのだけど――」
「なに? はあ⁉ うちらもガーターベルト付けて犯人おびき出して捕まえるって? ありゃああれだわ。お前も愉快犯だわ」
「言い得て妙」
「なにそれ?」
「ママから聞いた。よくママは携帯小説書いていてその頃の知識を教えてくれる」
「それは良いママだ。で、どうするの? やるの? やらないの?」
「やらないって言ったら?」
「……私一人でもやる……」
「意固地だなあ」




