表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明後日は死ぬ。  作者: 彼方夢
第一章 ガーターベルト殺人事件

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/39

ドーナツポップ

「ねえ、起きてよ」


 俺は声のしたほうを見ると黒い下着にガーターベルト。自分の布団をかぶっているその姿を見て興奮する思いだ。


「おはよう」

「ああ……」

 これは夢ではないだろうか。

「可愛いな……」

「ごはん作ってもいい?」

「えっ、いいけど……冷蔵庫なにかあったかな?」


 彼女はコンロの火を点けて味噌汁を作り出した。戸棚にあったサトウのごはんをレンチンし、余りもののポテサラを食卓に並べる。


「ありがとう」

「私もいただいてもいい?」

「ああ。別にいいよ」

 また手際よく料理のセットをする。

「学校、途中まで一緒に行くか?」


 奈央は少し驚いた顔をし、それからくすりと笑って、


「分かった。行きましょう」

 食器洗いをし、奈央はスカートを履いた。ガーターベルトのエロイズムが強調される。

「さあ、行きましょう」

「ああ」


□■□

 


 乗り換え線で奈央と別れて、俺は通学路を歩いていた。


「よお、椎名。さっきの美人。名前なんて言うんだよ」

「奈央さん」

「紹介してくれよ」

「お前には彩さんがいるだろ」

「彩は別れたよ。だってあいつ全くヤラせてくれねぇんだぜ」


 友樹の顔面を見遣る。こいつはこういう男だった。


「で、ほかの女に乗り換えようって話か?」

「ああ。さっきの女、すごいいい女だからな」


 こいつのことは嫌いではないが、軽薄な性格はとても癪に障る。だからこそ、言ってやった。


「あれ、俺の女だ」

「へえ。お前って簡単に恋人とか作れるタイプだったのか」

「――どういうことだよ」

「天沢麗美さんのことを忘れたのかな、って。そんなわけないよな」


 天沢麗美とは俺の五つ年上の恋人。いや、恋人だと俺は思い込みたかったのかもしれない。中学生の時にロマン喫茶で出会った大学生。黒髪ロングでナチュナルメイク。清楚を絵に描いたようなその女性は、俺を見るなり笑いかけた。手に持っていた片桐大三郎という芥川賞の著作を読んで。

 俺にとって甘酸っぱい青春の思い出の一欠けらだった。



 今日もいつも通り授業は終わり、岐路に就いている最中、奈央はミスドの前の看板を物色していた。そこに声をかける。


「どうかしたのか?」

「ポンデリング、食べたいなって」

「お金は渡されたのですけど、その、一緒に食べたいなって」


 通学用に数万円は渡しているのだが、まあ、思い出作りだろう。せっかくだし一緒に食べようじゃないか。

 俺はチョコ&抹茶シュガー。奈央はポンデリングとドーナツポップを注文した。席に座り、黙していると頬に感触があった。

 彼女が微笑みながらドーナツポップを押し当てているのだ。


「何している?」

「いいから」


 俺はそれを食べると彼女は満足な笑みを見せた。

 その表情はどこか麗美さんを思わせた――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ