処刑
また連中から連絡が寄越された。
「なんだ?」
「俺らの縄張りに姫島がいるぞ」
「はぁ? お前らなに考えてんだ?」
「総務省の連中の首を挿げ替えることが出来なかった。だからこれはその見せしめだ」
「……どこに向かえばいい?」
「高尾山に来い」
通話が切れた。溜息を吐いて外に出た。まず腹ごしらえをしたかった。そうして、なんとか気分を安定したかった。ついでにラインで友樹を一蘭に誘った。
そして行列に並んでいると「よお」と声を掛けられる。友樹である。
「待ったか?」
「まぁな。ほら、そろそろ列が動くぞ」
友樹と俺は席に座り、札を出す。するとラーメンが届いたので豪快に麵を啜る。
「新宿でナチュラルが動いているらしい。お前を、嗅ぎまわっているそうだ」
「分かっている」
「――そっか。気を付けろよ。お前は事件を追いかける習性があるからな」
「そんな人を動物みたいに」
「人間も動物みたいなもんだろ」
「まぁ、たしかに」
麵を啜り終えた俺たちは店から出て、物言わず八王子へと歩き出した。
「頼んだぞ」と友樹に言い残して。
高尾山の山小屋で姫島さんはナチュラルに捕まっていた。椅子に縛られ、頭巾も被せられている。なおかつ暴行も受けていたのか負傷している。
山小屋の空気も陰湿だ。害虫が飛んでいる。
匂いも異様だった。
「よぉ。クソガキ。ラブホの一件ではお世話になったな」
「俺らの稼ぎを潰してくれやがって」
残党と言われるナチュラルは五人ほど。そいつらがじりじりと近付いてくる。
そして始まった。処刑の時間が。
俺は奴らに袋にされた。横腹を執拗に蹴られ、痛みと恐怖から失禁もしてしまった。
嘲笑が残響する。
悔しかった。とにかく悔しかった。
俺は歯軋りをしながらゆっくりと立ち上がる。殴られても。また立ち上がる。
「俺は負けねぇぞ」
平和を享受することを選べる世の中にしたいのなら、まずこの“害獣”を駆除しないといけない。
一発。相手の右顔を殴られた。
「てめぇ、なにしてくれるんだ」
「こいつ、殺しちまうか?」
大柄な男に俺の顔面は拘って殴られた。どう人間を「壊す」のに効率がいいのか、きっと計算された殴り方なのだろう。
血反吐を吐いてしまい、床に伏す。
もう嫌だ。なんで俺がこんな目に遇わなければいけないのだ。
するとナチュラルのひとりが電話をし出した。
「なに?」
俺を睨みつける。
「大釜さんが? 分かった。すぐに行く。聡仁会にも話付けとけ」
ナチュラルの連中がぞろぞろと山小屋から出ていく。
「おい、誰かいるぞ!」
登山者に見つけられて俺はホッとした気持ちになる。
「ありがとうな。友樹」
意識が途切れる――




