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明後日は死ぬ。  作者: 彼方夢
第二章 ラブホテル階層事件

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嫌なときほど甘いものを食べよう

 佐藤天音。成宮学園においてパパ活業を斡旋。ナチュナルなどの半グレとも通じている。これは警察案件だが……タレコミがあったことが露付されればかなりまずい。

 そんな物騒な事を考えながら東急東横線に乗り揺られていた。休日ともあって車内は人で混雑していた。そこから人の流れに乗って駅舎の外に出て横浜中華街東門へと目指す。

 そこでは多くの外国人観光客がいた。食べ歩きをしている日本人もいる。

 俺はそこでしばらく待った。自然と待ち時間は気にならなかった。

「お待たせ」

「ああ」

 麗がにこやかに立っていた。

 彼女の服装は、ベルト付きワンピースにカジュアルジャケット。ブーツを身に付けている。かなり気合の入った服装だと言うことが目に見えて分かる。

 ――こういうとき、なんて言ったらいいのだろう。なんて考えていたら彼女に手を引っ張られた。

「たくさん食べたいものがあるの。たらたらしていたら駄目なんだから」 

 様々な食べ歩きスポットに行き、最後には小籠包の名物店の暖簾をくぐった。

 そこも完食し、俺たちは何となくコスモクロックというみなとみらいの遊園地に行くことにした。チケット代を支払い、乗り込んだ。

 最初は無言だった。でもそこから段々様子がおかしくなっていった。

「再来月九月だね」

「ん? うん」

「花火大会とか行くの」

「どうだろう。麗となら行くんじゃないか?」

 すると彼女は小指を差し出してきた。

「分かった。約束だよ」

 指と指をからめる。

「私、椎名くんのこと好きなんだよね」

「……そう、なのか。うん。素直に嬉しいよ」

「でもね、心臓弁膜症という臓疾患を患っているの。移植をしなければ私は死ぬ」

 唐突な告白に俺は言葉を失った。

「大好きな人には知っておいてもらいたいんだ」

「……いつから俺のことを?」

「うーん。ひたむきなところかな。あっ、あと」

「なんだ?」

「卵焼きの味」

「最後のは俺の母さんの功績だ」

 彼女は大笑いし、それから俺に口づけをした。

 観覧車が床に着くまでの間、どんな雰囲気だったかはあえて描写しないでおこう。



 七月。終業式。俺と友樹と麗は暑い暑いとうなだれていた。ただでさえ古びていたエアコンは悲鳴を上げ壊れてしまい、どっかの部室のおさがりの扇風機を使っているだがこれもぬるい風を左右に送っているだけなので無い方がましだ。

 すると引き戸が開かれ、香苗先生が冷えた水ようかんを持ってきてくれたのである。

「おっ、羊羹じゃん。お中元で大量に送られてきたやつの消費?」

「まだそういう時期じゃない。どうやら近くに甘味処が出来たらしくてな。割引クーポンが自宅のポストに入っていたから買ってきたのよ」

「そういえば香苗先生の家はまだアパートでしたね。……あっ、すみません」

「いいのよ。さぁ、食べましょう」

 四人は食で涼みながら一時の憩いを楽しんだ。



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