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明後日は死ぬ。  作者: 彼方夢
第二章 ラブホテル階層事件

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答え合わせ


「じゃあどうすればいいんだ」

 広場のベンチに座り、周囲を眺める。

 視界の端に神社が映る。

「あれ……やってみるか」

 罰当たりなことは理解している。けれど、それしかない。

 石段を駆け上がり、絵馬を見ると将来の夢が書かれている。

 指を鳴らし、これだなと思い写真に撮って収めた。きっと絵馬を写真に収める行為は犯罪だろうが。

 それを適当な紙に書き写し、事務所へと向かった。そこでは姫島が欠伸をしてとにかく暇そうだった。俺の姿を見るなり「おっ、出来たか」と言いメモ書きに視線を落とす。

「……合格だ」

「なぁ……いったいなんの違いがあったんだ?」

「簡単な話、アンケート調査での夢を記《しる》したものは見栄や虚栄にまみれている。だがこれはどうだ。やれジャニーズに会いたいだの、受験に合格したいとか、素晴らしい夢が一杯じゃないか。でも妙だな。お前、イカサマをしようとか考えなかったのか?」

「イカサマ?」

 姫島が大笑いして俺を指差した。

「採用だ! 明日からこき使ってやる」

 事務所を後にし、イカサマとは何だろうか。絵馬を使ったことそのものがイカサマじゃないのか。そんな疑問を抱きながらも家路に就いた。


□■□

 


 夕飯の席の唐揚げを頬張りながら父親に、探偵事務所のバイトをすることを伝えたのだが、何の気もなしにただ同じように唐揚げを食べているだけだった。

「えっ、興味なし?」

「息子がよく分からない仕事に就くよりかは、今日の唐揚げの細かい味付けを知りたいかな」

「今日はスタミナが付くようにニンニク一杯入れておきましたよ」

「晩頑張っちゃおうかな」

「まあ楽しみ」

 俺は舌打ちした。なんで両親の料理漫談を聞かなくちゃいけないのだよ。まったく。

 すると父親はこちらに視線を移し、

「危ない真似だけはするなよ」

 と、釘を刺してきた。それには笑って「大丈夫だって」と言い返した。


 そんな父の願いをすぐに破ってしまうことになるとは……


 一週間後。俺は待ち合わせの新宿の喫煙ボックスにいた。そこで煙草を吸っていた姫島。数分後、いつも通りの不躾な顔で外に出てきた。

「喫煙者は犯罪者みたいなものか?」

「どうしたんですか。藪から棒に」

「昔は路上や電車の中でも吸えていたのに。排斥され今となったら監獄行きだ」

 彼の気持ちは分からないでもないが、それが時代だ。酒が栄えていた時代の禁酒法政策などそれに類ずるのだろう。たばこ税や締付けをきつくしても搾りとれる。それだけの話だ。


「いいか。俺から離れるんじゃねぇぞ」

「ん? あぁ、はい」

「ここ夜の歌舞伎町ではお前みたいな若者を虎視眈々と狙う奴が有象無象といるんだ。気を付けろよ」

「はい」

「そして今回接触するのはナチュラルの残党である桐竜会の面々だ。何かあればすぐに逃げろよ」

 歌舞伎町ドン・キホーテの側で姫島はいかつい和彫りの男達に薬を渡していた。

 

「この件を裏で手を引いているのは、佐藤天音。成宮学園の生徒だよ」

 俺は驚いてしまい、天を仰ぐほかなかった。

 


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