事件の始まり。
私立成宮学園。高校二年生の自分は事件がないかどうか、学園を注視していた。
遺憾にも「変人」という名が独り歩きしている現状で、俺に依頼を届けてくれるような物好きはおらず。
今日も校庭の端っこでどこかの野良猫と戯れているだけだ。
ああ……暇。
すると野良猫が駆け出した。そのあとを追いかけていく。
数分後。立ち止まった野良猫の口元に咥えられていたのは手紙。
俺こと攻城椎名は期待感を覚えながら封を開ける。
そこには新聞の文字の切り文字で「ガーターベルト」とあった。
おおっ。これは事件の香りがふんだんにするな。興奮してきた。
早速、友人であり助手である友樹に連絡をかける。
「はい。もしもし?」
「おい、事件の香りがするぞ」
「いま、俺には一蘭ラーメンの匂いしかしない」
「は?」
「一蘭に来ているんだよ。お前も来るか?」
「……行かせてもらうわ」
□■□
一蘭10辛の麵を豪快に啜って、むせこんだ。水を流し込む。
「うまいなあ」
「で、椎名。話ってなんだよ。お前、時計台に友人いたか? それともいつもの猫か」
友樹はせせら笑う。
「冗談はよせよ。……ほら、これは猫が咥えていた手紙だ」
「どれどれ……新聞の切り文字か。こりゃあ怪しいな」
ちなみに言うとまだ笑っている。
「変な事ばっかやってるとお前……早死にするぞ」
ちゃっかり一蘭のクーポン券を貰えた俺はそれをズボンの中に入れてから家路に就く。
すると暗がりに人影が見える。夜道の街灯に照らされるスプリングコートを身に着けた少女。きっと女子高生だろう。なにか探し物だろうか、中腰になって視線を彷徨わせている。
その彼女が俺のことに気付いた。
「あっ、すみません……」
「いええ。なにかお探しですか?」
「懐中時計を探していまして……祖父の大切な」
「ふーん。よしっ、俺も探しましょう」
「えっ、いいのですか」
「はい」
するとその少女はにこりと笑った。
三十分ほど探し続けたが結局見つからず、深夜まで探してくれたお詫びにということでマックの飲み物を購入してくれるそうだ。
彼女はスプリングコートを脱いだ。コートの上からで分からなかったが、なかなか綺麗な体格をしていた。そして何より目を見張ったのは「ガーターベルト」だった。グレージュを基調とした制服の足元にガーターベルトもささやかながら目立っている。
「どうかしたのですか?」
「い、いや~」
「あっ、太ももばっかり見て。スケベなことを考えていたのか! やらしいなぁ」
やっかいなことに、その言葉に嘘はない。




