愉快犯
本格ミステリー、始まります!
氷の結晶が落ち行く新宿。私はポッキーを食べながら“彼”を待っていた。
私のほかにもイルミネーションで幸福な気分を味わっているカップルは大勢いる。
するとブーツのコツコツとした凍った道路と靴底との軋りが聞こえてきた。
――あっ、彼だ!
私は見つけた彼に近付くと、満面の笑みで頭を撫でてくれた。
「ねえ、どこに行こうか」
「そうだな……この寒さだし。先に喫茶店でも行くか」
「うんっ」
町外れにある喫茶店「ジョーン」に訪れた。
店内はアンティーク家具が豊富で、店主がいつも几帳面に手入れしているのが窺える。
席に座る私たち。ブラックコーヒーを注文した。
彼は窓に映る雪化粧を見ては溜息をついた。
「いつ止んでくれるのだろうな」
「……うん」
店主がホットコーヒーを持ってくる。それを一口含む。今日は記録的な大雪。しかも予報にもなかった。
少し暖をとれたところで店を出る。まだ雪は強まる。
「なあ、俺の家に来るか?」
「え?」
彼の家はここから近い。素直に応じることにした。
タクシーに乗り数十分。豪奢な彼の家に着いた。
家に入るなり健司は冷蔵庫からケンタッキーBOXを取り出してくる。
「やっぱ、クリスマスと言えばこれだよな」
「うん。ありがとう」
二人掛けのソファに座って、無心に食べつくす。
「でもさ、どこかショッピングに行ったりしたかったね」
「また来年行けるさ」
「……そうかな」
「ああ。そうだよ」
先にシャワーを浴びてこいよ、と言われて私は風呂場へと向かう。服を脱いでほどぬるいシャワーで体を念入りに洗う。風呂場はすっかり冷え切っていたが徐々に蒸気でぬるくなっていった。タオルで体を拭くと、そなえつけの冷蔵庫の上にガーターベルトが置かれていた。彼の趣味だろう。溜息をひとつこぼし、ガーターベルトを装着する。ミニスカとシャツをも身に着け、彼の目の前に現れると「可愛いね」なんて言ってきた。
「他の女ともこういうことしているの?」
「してないよ」
「でも――」
「減らず口をふさいでやるよ」
私は彼に口づけをされ。体をまさぐられながらベッドに押し倒された。
「俺のためにこういう格好をしたら、すごく興奮したでしょ」
そのまま激しい情事が行われ始めた。
アパートの一室に鑑識は遺体を見て、険しい表情をしていた。
「どうだ?」
「天さん。どう思います?」
「コスプレでそういうことをして、そして殺害されたか」
「被害者は小田加奈子。交際中の――は逃亡中です」
「しっかり捜査しろ」
刑事の天はアパートを後にした。




