蛇の道は蛇
「ねえ……」
「ん? どしたん?」
麗はどぎまぎとしながら女子生徒ひとり一人に声をかけていた。
声をかけられた女子生徒は困惑しながらも気が良いのか会話をしてくれようとする。だけれどもパパ活の話題になった途端、拍子抜けしたみたいに去っていく。
あくまで短期作戦だ。長期間同じ事をしようとしても麗に対する悪評がばら撒かれてもう情報が集まってこないだろう。
でも椎名には悪いがそもそも長いこと聞き回るつもりはない。女子生徒にパパ活のことを聞いて回るのは麗自身の精神衛生上悪いのだ。鉄壁人間でもない。傷付ければ血も出る。
――彼にとって事件ってどういう認識何だろう。彼が、攻城椎名が解決しなくてもいいのに。ただの余興だったとしたら軽蔑すらする。
理由を聞ける日が来るのだろうか。
「あの……」
呼ばれたので振り返る。そこには金髪で手首にシュシュがある、平成に取り残されているような女子生徒がいた。
「パパ活のことが興味あるんだって?」
「う……うん」
「三年の涼先輩に紹介しておくから、今日午後七時歌舞伎町二丁目に行きな」
「分かりました……」
麗はその足で部室へと向かった。
そこでは椎名と友樹が神妙な顔つきでスマホをいじっていた。
「今日、歌舞伎町に行くことになったよ」
「なんで?」
「成宮学園でのパパ活の元締めをしている人と会うからだよ」
友樹からの質問に答えると感心したような顔をする。
「そこまで首を突っ込んで危ないだろ。もう手を引け。歌舞伎町には俺と友樹で行く」
「私も行きたいけど……仕方ないね。任せる」
「ああ。任せてくれ」
麗は椎名に笑いかける。
その姿を見ていた友樹は不審な目で、
「お前ら出来ているのかよ?」
とか言い出すものだから笑っちゃった。
彼はどう思っているのかな。
歌舞伎町二丁目の道路端に煙草を吸っている男がいた。
俺はそいつに話しかける。
「お前が浅草涼だな」
じろりとした三白眼で睨みつけてくる。
「誰だお前?」
「俺は、探偵みたいなものだ。お前が学園のパパ活の元締めをしていることで合ってるな?」
浅草涼はくすりと笑い、それから彼方にあるビルを指差した。
「元締めは暴力団だ。俺は使いっ走りのヤンキー。いいか、探偵だかなんだか知らねえけど相手は大物だ」
「……勝手にさせてもらう」
この場から去ろうとすると涼はまた笑う。
「俺はお前を観てるぞ。蛇の道は蛇だからな」




