パパ活
翌日。
都合がいいのか校内でパパ活が生徒の中で話題になった。一万五千円でどれだけヤラしてあげるか。汚い中年のおっさんも使いようだと大笑いだった。そんな下世話なことで笑う女子もあと十年もすれば中年のおばさんの仲間入りだぞ。気を付けろよ。
まぁそんな腹積もりはおくびにも出さず、女子高生らにパパ活のことを聞きまわった。
当然、収穫はなし。普通は警戒して情報すら出さねぇか。
学食の時間になって、母が作る時間が無かったとかで弁当ではなくおにぎりを頬張っていた。たまにはいいな。
「あっ、今日は卵焼きじゃないのですね」
「お前が嫁に入ってくれれば毎日俺の家の卵焼きを食べられるからな」
「へっ、はぁ、は⁉」
反応が可笑しくてつい笑ってしまう。
「あっ、馬鹿にしましたね!」
「いつも馬鹿にはしている」
「……それはそれで失礼ですけど……」
おにぎりを黙食していると、閃いてしまった。
「お前、パパ活行けるか?」
「……帰ります」
「違っ、本番はもちろんなしだよ」
「友人にそんなこと頼むの?」
「そりゃあごめん。そのだな。パパ活で男釣って、で、ホテルの前でそいつに話を聞くのだよ。だから怖い思いもさせない。絶対に」
これもかなりの大博打だが。
「……分かった。埋め合わせはいつかしてくださいね」
「……埋め合わせは、卵焼きを"一緒に"食べようぜ」
すると麗は顔を真っ赤にさせた。
「本気にしますからね」
そしてどこか怒りながら去っていく。
「女心と世の常か」
言ってみたかった言葉だ。発したあと猛烈にのぼせてしまうほど気恥ずかしかったが。
犯人のことを考えると大型ラブホテルが良いだろうということになり、麗にはかなりのおめかしをしてもらった。
「なんで車の中なの? しかも奈央さんいるし」
「女の子を危険な目に遭わせるわけにはいかないでしょう」
運転席にいる奈央はかなり前かがみだ。
「奈央さんって何歳なんですか?」
「十八歳」
「それで」
「で、どうするの。その犯人は懸賞金掛かっているの? 捕まえたら一生遊んで暮らせるような金が手に入る?」
「某海賊マンガの読みすぎですって。あっ、動きましたよ。おじさんが麗に近づいていますね」
値段交渉をしているのだろう。その後、二人がラブホに入っていくところをスマホで撮る。
俺らは車から降りてそのおじさんを包囲しに行く。そいつの顔面は驚いたからか青白くなっていた。
「で、どうする? 警察に行く? 仲間がいるならそいつらのことバラシて自分だけ助かる?」
「ジョーカーという女がいるんだ。そいつは女をホテルに連れ去って、そしてナイフで一刺し。頼む、吐いたから警察には言わないでくれ! 家庭も職場もあるんだ!」
俺らはもう用済みとなった男から離れる。
麗に上着をかけてやった。彼女はずっと気落ちしていた。




