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アズーロとロッソの出会い、そして訓練開始

「ねぇ、他のお話は!?」


「おっと俺ばっかりが話すのもフェアじゃないだろ。今度はお前達の話を聞かせてくれよ」


「僕達の……?」


「そう、たとえばお前達の年齢や家族構成、どうやって出会ったとかな」


 きらきらと目を輝かせて次の話を強請るアズーロにツェッドは交換条件だとアズーロ達に自身の話をするように求めた。

 口止めとして外の話をするという約束だったがそんなものは無視だ。

 こいつらだって忘れているだろうとツェッドが二人を見遣れば、アズーロは俺達の話なんかつまんないよ? と言いロッソは口止め料じゃ……と小さく呟いた。


「つまんねぇかどうかは俺が決める。ロッソ、何か言ったか?」


「な、何も……」


「じゃあ俺からな! 知っての通り俺はアズーロ! 父ちゃんと母ちゃん、そしてこないだ生まれた弟の四人家族! んで八歳! そして父ちゃんは次の長なんだ!」


「ロッソです。生まれた時から屋敷に閉じ込められていたから家族構成はわかりません。アズーロと同じく八歳です」


「俺達が出会ったのは四年前で……」

 アズーロの話を纏めるとこうだった。

 四年前、生贄を公開する儀式があった。

 村を上げて行われたその儀式にアズーロも幼いながら参加し、そこで村では見かけない赤髪赤目のロッソ――生贄――を見たのだという。

 生贄を公開する儀式の時のロッソの瞳は何も映していなかった。

 それが気になったアズーロは、父親に生贄と遊んじゃダメなのかと問いかけた。

 そうすると父親はアズーロに拳骨を食らわせ生贄様に何かあったら責任取れないだろうがと怒鳴ったという。

 しかしそれで納得いかなかったアズーロはロッソがいる屋敷の周りをうろちょろして警護の者に何度も追い返されたそうだ。

 それでも諦めきれなかったアズーロは何か他に策がないかと考えた。

 考えながら歩いていると森に辿り着いた。

 そこはロッソの屋敷から五キロほど離れたところだった。

 その森の中に違和感を覚えたアズーロは辺りを見渡した。

 するといやに低木が並んでいる箇所があった。

 アズーロがそこに違和感を覚えて低木をかき分けると人一人入れる穴があり、中に入ってみるとそこは地下通路だった。

 最初はそこを通っても屋敷に辿り着くとは思わなかったが、何となく辿り着く気がして地下通路を進んでみるとロッソのいる部屋の戸棚の裏に辿り着いたのだという。

 いきなり部屋に現れたアズーロにロッソは人形のような瞳で見つめるだけだったという。

 それが気に入らなかったアズーロはロッソの手を引き無理矢理地下通路を通ってロッソを外の世界に連れ出した。

 ロッソは外の世界に連れ出されたことに抵抗したが、アズーロに目の前でガマの穂を爆発させられて拍子抜けしたという。

 その際にアズーロは面白いだろ? 外にはこんなに面白いことが溢れてるのにもったいないよ! とロッソに言い笑ったそうだ。

 ロッソは初めて得る外の刺激に驚き、そして生贄だと知ってなお笑いかけてくるアズーロに最初は変な奴と思ったらしい。

それからと言うもの毎日地下通路からロッソを外に連れ出しては外の刺激を触れさせてくるアズーロに段々絆され自我を出すようになったという。

 そこからはお目付け役の目を盗んで村人にも見つからないようにしながらアズーロと遊ぶ日々が続いたのだという。

 そして珍しく村に移住者が来ると聞いて尋ねたのがツェッドだったというわけだ。


「なるほどな……。確認だがロッソは赤髪赤目だから生贄なのか?」


「そうだよ。俺達の村には黒髪に黒い目か青い髪に青い目しかいないのにロッソだけ赤い髪に赤い目だから……」


 そんなの馬鹿げてるって俺は思うけどね、とアズーロは続ける。

 それに対してロッソはアズーロ……と困ったように声をかけその肩に手を置いた。


「だってそうだろ? 外の世界じゃ赤い髪に赤い目なんて珍しくないんだろ!? こないだ来た行商人だって赤い髪だった!! それにツェッドお兄さんも珍しくないって言っていたじゃないか! あとツェッドお兄さんも赤い目だ!」


「アセビ村で生まれたのが理由だって大人達は言っているじゃない……」


 ――アセビ村で生まれたとある特徴を持つ子供が生贄となる――

 ツェッドはこの世界について書かれていた本の記述を思い出した。

 とある特徴とは赤髪赤目のことなのか?

 それなら何故そうと書かない?

 それに村の外には普通にいるらしい赤髪赤目が何故アセビ村に生まれたというだけで生贄の証になる?

 確かに黒髪と青髪から赤髪は生まれないだろう。

 そういった意味では突然変異と言える。

 それを生贄の証と判断するには聊か早計ではないか?

 ツェッドは改めてアズーロとロッソを観察した。

 アズーロはその活発的な雰囲気からつり目かと思いきや垂れ目である。

 ロッソはその気の弱い性格にぴったりな垂れ目だ。

 顔の造形だけを見ると二人ともよく似ている。

 声音も声変わり前だからかそっくりだ。

 そして同じく八歳……。

 これは閉鎖的な村で生まれたからなのか、将又違う理由があるのか。

 ツェッドはこの疑問は後々大事になる予感がしつつふてくされるアズーロとそれを宥めるロッソを見ていた。


「おい、ふてくされてる暇はないぞ。剣術の稽古をするんだろう?」


「!! する!!」


「……せっかく忘れてたのに……」


「何か言ったか、ロッソ」


「な、何も言っていないです……」


 ツェッドはふてくされているアズーロに剣術の稽古の話をすると、昨日クラフトした木で出来た剣を寝室に取りに行った。

 その際ロッソに恨みがマシそうにぼそっと言われたが、聞き返すことで黙らせた。

 木で出来た剣をそれぞれに渡し、それを持って外に出るように言うとツェッドは自分の分の木で出来た剣をクラフトしていなかったことに気づき慌ててクラフトした。

 勿論二人が外に出たのを見届けてからだ。


「ツェッドおにいさーん! はやくー!」


「わかったから叫ぶな」


 ツェッドはアズーロの声に促されるようにして外に出た。

 するとアズーロは木で出来た剣をぶんぶん振り回しており、ロッソは持ち上げたり降ろしたりを繰り返していた。


「お兄さん、これ木で出来た剣!? すごいね!!」


「僕でも持てるなんて……」


「いきなり真剣持たせるわけないだろうが」


 ロッソはアズーロに比べて筋肉がないからな、そこは調整した、とツェッドが述べるとツェッドがそこまでしてくれるとは思ってなかったのかロッソが垂れ目を大きく見開いた。


「まず手本を見せるから真似して振ってみろ」


「うん!」


「はい……」


 ツェッドはお手本になるようにきれいな剣筋で木で出来た剣を素振りした。

 それをじっくり観察していた子供達は真似して素振りをしてみたが、筋力が足りないのかどこかヨロヨロとしていた。

 それを見てツェッドはまず筋肉作りからだな、と判断するとそれを二人に伝えた。


「え!? それじゃあ間に合わないよ! 後二年しかないのに!」


「アズーロ!」


 アズーロの言葉に何が後二年なんだ? と思ったツェッドだったが咎めるようなロッソの声にロッソが生贄になるまで後二年なのだと察した。

 そしてアズーロが剣術を習いたい理由も。

 だがそれを今口にしたとしても二人からの信頼を得られてない状況じゃ素直に答えてくれないだろうと思い何も言わなかった。


「まずは半年だ。半年で納得のいく筋肉がつけられたら剣を教えてやらないでもない」

 勿論筋肉の付け方も指導してやる、と言うとアズーロは渋々頷いた。


「僕は筋肉は……」


「ロッソの方はその年頃だったらついていてもおかしくない程度の筋肉をつけてもらう。生贄になるにしてもその方が良いだろう」


 食いでがあるしな、とツェッドが内心付け足すとそれを察知したのかアズーロにツェッドお兄さん! と咎められてしまった。

 察しが良いことで、と思いながらツェッドがほら筋肉を鍛える鍛錬をするぞと声かければ二人からそれぞれ返事が返ってきた。

 そこからはロッソの時間がギリギリになるまで走り込みや腕立て伏せなど体力づくりと筋肉づくりを兼ねた鍛錬を行った。

 それを見て長期戦になりそうだなとツェッドは思った。


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