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ドレイク王国11

 城に戻ると直ぐにヒューリたちを会議室に呼び出す。

 今後のことについて話し合わなくてはならない。

 レンが国家樹立を宣言すれば周りの国が黙っていないだろう。ヒューリの治めるドレイク王国は問題ないとしても、他の近隣諸国がどう動くか予想ができない。


『ヒューリ、もし国家樹立を宣言したら他の国はどう動くと思う?』

「正直、分かりかねます。最悪武力侵攻もあり得るかと」

『私は他種族と手を取り合いたいのだがな……』


 戦争なんてしたくない。誰かに殺されるのも嫌だが、誰も殺したくはない。

 この世界では甘い考えなのかもしれないが、俺には人の命のやり取りは無理だ。

 ……それでも、もし、配下が危険に晒されたら迷わず殺せと命じる。一番大切なのは俺に忠誠を誓い尽くしてくれる配下なのだから。


「各国へ国家樹立の書状を送られた後、武力衝突を避けるためにも話し合いの場を設けるのがよろしいでしょう」


 そうか国家樹立を宣言すれば、先ずは各国との話し合いなるのか。

 ということは、何れ各国のお偉いさんとも会談しなければならないと……

 ばっかじゃねぇぇぇの?俺にそんなことができるかぁぁぁぁぁ!!

 あぁぁぁぁもう、なにも考えたくない、逃げたい。

 しかし、どうする?このままでは非常に不味い。

 取り合えず、この場は保留だ。先延ばしという素晴らしい切り札で切り抜けよう。


『ヒューリ、そう急がなくてもよい。国家樹立は国の基盤が固まってからだ』

「しかし、レン様の配下はみな強大な力を持つドラゴン、他の国に知られたら間違いなく騒ぎになります」

『情報封鎖はできないのか?』

「完全に情報を漏らさないよにするのは無理でしょう。ある程度の時間稼ぎはできますが……」

『それでも構わん。情報封鎖を行え、私のことも知られないようにしろ』

「承知いたしました」

『カオスに相談したいことも出来た。明日は新たな居城に行く。お前たちもいいな?』

「畏まりました」


 同席するアテナたちに視線を向けると、ニュクス、アテナ、ヘスティアは一斉に頷いた。


 それからは、情報が漏れた時の近隣諸国への対応などを話し合い会議は程なく終了した。




 翌日、新しい居城へ向かうための準備を行う。

 ヒューリや世話になった竜人ドラゴニュートに挨拶をすませると街の外までやってきた。

 荷物はレンの登山用バッグとヒューリから貰った衣類と食糧。かなりの量だがドラゴンの姿に戻ったニュクスたちであれば楽に運べる量だ。


『ニュクスは私を運ぶように。アテナとヘスティアは荷物を頼む』


 屈むニュクスの手に乗ると指に捕まる。ニュクスが上体を起こすと、それだけで高層ビルの屋上にいるかのように遠くまで見渡せる。


『よし、ニュクス頼むぞ』


 ニュクスは大きく頷くと翼を広げ大地を蹴った。

 風を切る轟音がなり響き砂煙が舞い上がると、その巨体は大空高く舞い上がる。

 見る間に大地は遠ざかり空の彼方へ飛んでいく。後ろを振り返ればアテナ、ヘスティアが優雅に空に舞っていた。


 心地よい風を受けながら大地を見下ろす。眼下には広大な緑と湖、素晴らしい景色が広がっていた。

 距離が短いのか、それとも移動速度が速すぎるのか。恐らく後者だろう、移動は程なくして終わる。

 ゆっくり高度が下がり目に映るのは直径3km程の湖、その中央に直径1km程の島。その島を全て覆うように巨大な城が建てられていた。

 城は高さにして300m程。城の4隅には見張り台と思しき巨大な塔が建てられ、その上には4体の下位竜デグレードドラゴンが鎮座している。城の正面からは巨大な橋が対岸まで伸び、城までの唯一の陸路となっていた。


 ヒューリの城に作りは似ているが規模が違う。

 城の上部には古代竜エンシェントドラゴンが降り立てる場所まである。ニュクスはそこに降り立つと身を屈めてレンを降ろした。

 ウェンザー山脈の居城と同じく真っ白な美しい城だ。

 ニュクスたちは人間の姿に変わると、レンを中へと案内する。

 城の中も真っ白に輝いていた。柱や扉、一つ一つに細かな彫刻が施され所々に調度品が置かれている。

 先ずは寝室に案内された。扉を開けると部屋の中央には30人以上座れる豪奢なソファセット、奥には10人が横になれる巨大なベッド、部屋の端に並ぶチェストの上には趣向を凝らした豪奢な調度品が数多く並んでいた。

 奥に見える窓からはバルコニーが見える。寝室は城の頂上付近にあるらしく、バルコニーからは雄大な草原が見下ろせる。

 何よりも部屋が広い、天井が高い。地球での俺の家が2軒入る大きさだ。

 ちらりとアテナに視線を向ける。


『アテナ、素晴らしい見事な城だ』


 アテナは頬を染め深く一礼する。呼吸が荒いように見えるのは気のせいではないだろう。


「お褒めのお言葉ありがとうございます。そのお言葉だけで全ての努力が報われます。レン様に喜んで頂けるように誠心誠意、思いを込めて創世いたしました」

『そ、そうか私のためによくやってくれた。これからも頼むぞ』

「はい、勿論でございます」


 アテナは瞳を潤ませながら見つめ返す。

 それをニュクスとヘスティアは悔しそうに横目で見ていた。


 争わないように言い聞かせたが嫉妬心は健在か。

 参ったな。部屋が広いから狭くして欲しかったんだが、アテナの嬉しそうな表情を見ていたら言えなくなってしまった。

 狭い部屋の方が落ち着くんだが、まぁ仕方ないか……


『アテナ会議室はあるか?』

「はい、ございます」

下位竜デグレードドラゴン以外全員集めろ。今後について話し合う』

「畏まりました」

『ニュクス、会議室まで案内を頼む』

「はい、お任せ下さい」


 ニュクスの案内で会議室まで移動する。

 移動の最中には何度も階段を降りることになった。移動だけでも汗だくになる距離がある。

 レンの寝室は上層にあり、会議室は中層にあるらしい。


 上層から中層までの移動でこれなら、上層から下層までの移動にはどれだけ時間がかかるんだ?


 レンは移動しながら広すぎる城に思わず溜息を漏らした。


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