* 再 来 其の一 * 8
“それから”といえば、私たちが体験したことのはず。
そう言葉に詰まるようなことではない。
私は、先輩の次の言葉を待っていた。
変な好奇心が私の中に存在していた!?
「森田さんとは、旅館でのことを話していたんだけど、一応、旅行会社へは連絡した方がいいってことで、ちょっと仮眠して、今朝一番で電話したのよ」
「はぁ……」
何だか、事務的な作業に聞えて、少し力が抜けた感があった私。
思えば、鈴木先輩はほとんど寝ていない。
事務的……などと一瞬でも思ってしまった私は自分が恥ずかしくなっていた。
当然しなければならないこと。
そこまで頭が回っていなかった。
私のそのような様子を察してくれたのか、鈴木先輩の言葉がこうだった。
「旅館でのこと、早く話してあげたいんだけど、取り敢えず、一番最初に戻ってということでね」
普段は天真爛漫な鈴木先輩で、自分のことも星座から「ずぼらだからさ~」などと言っているけれど、人のことを見る目や細かいところに気が付くというところでは、職場でも一目置かれている存在で、その“目”から、時々、人事などにも立ち会うことがあるくらいの人だった。
そして、話を続けてくれた。
「で、電話して、担当者を呼び出してもらったんだけど、いないっていうのよ」
また、俄かには理解することが出来ない私がいた。
「いないってわかる?」
すかさず鈴木先輩が問い掛けてきた。
「……辞めたとか……ですか?」
それしかない……普通であれば。
「それが、いないのよ。最初から」
「はい????」




