* 再 来 其の一 * 7
「そうなの」
母は、そう言っただけ。
しかし、これも、いつもの母ではなかった。
いつもなら、「どうしよう」とか「いいのに」と、急な来客には、お断りムードを漂わせるはず。
それが……素直に受け入れているというか……どちらかといえば、歓迎ムード!?
やはり、私たちがいたあの空間は、ただ事ではなかったという直観が働いていた。
そして、「どうぞ、ごゆっくりね」と言い、母はリビングから出て行った。
気を効かせてくれたようで、私も助かった。
本当は、真っ先に先輩に訊きたいことがあったから。
母がリビングのドアを閉めると同時に、私はテーブルに身を乗り出していた。
「あの後、何があったんですか!」
鈴木先輩は、興奮気味に見えたであろう私の様子に、少し笑ったような感じで、「今、話すから」となだめるような言い方で返してくれた。
「香里ちゃんがお父さんと帰った後、近くのファミレスで森田さんと話してたんだけどね……」
「は、はい!」
私は、何故かソファの上で身を正していた。
「先ず、私が旅行会社へ手配したでしょ。その時から、やっぱり変だったんだわ」
「変……って?」
「思えば……なんだけど、ネットで検索したのって、あの場所じゃないんだよね」
「え?」
俄かには理解することが出来ない鈴木先輩の言葉だった。
「△△温泉って検索したはずだったんだけど、仕事中だったしで、あまり詳しく見ないで、取り敢えず一番上にあったところをクリックしたら、あの旅館がいきなり画面に出てきてね」
「はい?」
「で、温泉とかお料理とかが、めちゃくちゃ良くて、提携先の旅行会社が載っていたから、電話しちゃったの……」
かなり申し訳ないといった感じの鈴木先輩だった。
「G.W.明けっていうことで、すんなり取れちゃって……最初に△△温泉にしようって思ってたことも忘れちゃってた……ほんと、ごめんね」
「先輩が謝ることじゃ……」
当然、そう。
行先が変更になった以外は、普通であれば全く問題はない。
もともと、鈴木先輩からの提案であったわけで……。
「……それからがね……」
鈴木先輩は、少し言葉を詰まらせた。




