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異 空 間  作者: 本城沙衣
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* 再 来  其の一 * 4


「よく寝たから、すっきり」



自分の言葉に、またハッとなってしまっていた。


旅館では、よく寝た後には、物凄い悪寒や吐き気を伴っていたわけだから。


急いで、その記憶を打ち消していた。



私が母の隣に座ると、テーブルの上にあった緑茶を入れてくれている母。


それも、いつもの光景だったけれど、その時ほど、安心して有難いと思ったことはなかった。



「美味しい……」



そう言った私に、「いつものお茶よ」と笑っていた母ではあったけれど、きっと私がそのような思いで言った言葉が、深く伝わったのだと思った。


笑み浮かべながらも、少し涙目をしていた母がいたから。



そこで気付いたことだったけれど、家を出たのは、つい昨日。


それにもかかわらず、ずっと家に帰っていなかったような……久し振りに帰った我が家のような、不思議な感覚もあった。


それほど、あの空間に支配されていた時間が重たく申告であったことも実感した瞬間だった。


母も霊感は強い方。


私は、旅館でのことを話そうとした。


その時、玄関のチャイムが鳴った。


インターホンに写っていたのは、鈴木先輩だった。


その日は、3人とも塾も休暇を取っていたので、鈴木先輩も自宅で一休みしてから、来てくれたようだった。


別れ際、「あとで香里ちゃんちに行くから」と言っていた鈴木先輩の声を思い出した。



「あ、鈴木先輩が来てくれるって言ってた……」


「やだ、早く言ってよ」



そう言いながら、母が玄関の方へ歩いて行った。



ほどなくすると、母の後ろから鈴木先輩が少しの笑みで軽く手を振りながら、リビングへ入ってきた。



「大丈夫?」



母より心配そうな様子を見せてくれた鈴木先輩だった。



「もう、大丈夫です」



私も、母に見せたつくり笑いより、もっと笑って答えた。



「無理……しなくていいから」



鈴木先輩は、私の傍へ来て、小声で言ってくれた。


私は、先輩のその言葉に軽く頷いたけれど、私はまだパジャマのままでリビングにいたという状態。


ガス中毒には罹らなかった鈴木先輩ではあったけれど、同じ時に同じ経験をし、私が一足先に旅館を出た後も何かあったに違いなく、帰りも車を運転して帰ってきた。


そして、その旅行自体、鈴木先輩が言い出し、予約を取ったことで、相当な責任も感じているに違いなかった。


心身ともに、相当疲れているに違いない。


それでも、こうして自宅にまで来てくれたことには、本当に申し訳ない気持ちと同時に、感謝の気持ちでいっぱいだった。



鈴木先輩は、母に案内されて、私と反対側のソファに座った。



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