* 潜 在 * 6
「そしたら、森田さんも、寝ちゃっててさ」
けっこう興奮気味に話している鈴木先輩ではあったけれど、その時点では、それ程、不自然なことでもないような気がしていた。
私が不思議そうな感じだったのだと思う。
鈴木先輩が、更に興奮気味に話した。
「だからね!私が電気を消しに行っている間って、ほら、そこなんだから、何分もかからないでしょ!」
部屋の入口の柱横の壁にある電気のスウィッチのある方を、鈴木先輩が指を差した。
「あ、そっか……」
その時についていた部屋の電気は、私がつけに行ったことを思い出した。
「たった、何秒かの間に森田さんも寝ちゃって起きないし、香里ちゃんなんか、その前に速攻寝しちゃうしで、私としては、かな~り奇妙だったわけよ」
「……そういうことになりますよね……」
速攻寝してしまった私自信が、何だか申し訳ないような気持ちになっていた。
「ということで、私も、速攻寝しちゃおうと頑張ったんだけどさ!なんか、なかなか寝付けなくてさ!そしたら、あれよ!」
興奮気味に加えて、何かを“撥ねつけている”といった感じの口調の鈴木先輩。
鈴木先輩の行った“あれ”……森田先輩のことだった。
そこは、すぐに理解することが出来た。
「そうだったんですね……」
鈴木先輩が話している間、ずっと下を向いていた森田先輩のことが気になった。
とはいえ、声を掛けにくい感じ。
少しの間、3人が黙っていた時間があった。
すると、森田先輩が、少し溜め息まじりの感じで、また話し始めた。
「……鈴木さんが電気を消しに立って行ったことまでは見えていたんだけど、それから記憶がない感じ」
「あ……」
速攻寝したと言われていた私は、森田先輩と、ほぼ同じような感じだったので、思わず声を出してしまっていた。
「なに?」
「……私も、お布団へ入ったまでは覚えているんですけど……ちょっと安心した感があるとか……その辺りまで……」
「香里ちゃんも?」
「そんな感じでしたね……」
私たちの間にいた鈴木先輩が、枕を抱えて、「なんで?」と一言。
無理もない。
この旅館へ着く前から、鈴木先輩に降りかかった様々なことがありすぎたのだから。
そして、この時に及んでも、また、“鈴木先輩だけ”という現象も起きていた訳でもある。
さすがに、“そこ”には私も「なんで?」と聞きたくなったくらい。




