* 潜 在 * 5
「実はね、最初は香里ちゃんが変だったのよ」
「私ですか?」
今度は、かなり意外な森田先輩からの言葉だった。
「変って言い方はちょっと違うんだけど……お布団に入ってから、すぐに寝ちゃって」
「……?」
ほぼ意味不明。
「あ、すぐに寝ちゃうのはいいんだけど、その“すぐ”がハンパじゃないというか……」
まだ意味不明。
「あ……」
鈴木先輩が、何かを思い出したような感じで、森田先輩の言葉をフォローするかのように続けた。
「そうそう!変だった」
「変……って?」
「だって、香里ちゃん、いっつも一番後じゃない、寝るの」
「まぁ……」
「それがさ、いきなり寝ちゃった感じで、私たちもふざけてるのかと思って、かなり揺すったり、くすぐったりしたんだけど、一向に起きず!」
「そんなことしてたんですか!?」
矛先が違うところへ行ってしまいそうな雰囲気に、今度は森田先輩がフォロー。
「まぁまぁ……ということで、いつもは一番、遅くまで寝つけない香里ちゃんが、速攻寝しちゃって、不思議に思った訳」
速攻で寝たこと自体は、私にはわからないことだった。
その理由も……。
「でも、ほら、昼間とか夜、ある意味、香里ちゃんが一番疲れちゃったのかなと思って、私たちもそのまま寝たんだよね」
そう言うと、森田先輩は鈴木先輩を見た。
「そうそう。それから、静かに寝てたから、心配してなかったんだけどね」
「そうだったんですか……」
確かに変。
私と言えば、かなり寝つきが悪いので有名。
どちらかと言えば、夜型だし……何故か自分にも“何か”が起こっているような……怖くなった感があった。
「それからなんだけど……」
森田先輩が本題に入る感じで話し始めた。
「香里ちゃんが寝ちゃったものだから、私たちでちょっと話してたんだよね」
そう話し掛けられた鈴木先輩が「うん、うん」と頷いていた。
「いつもの他愛ない話だったし、何となく寝た方がいいってことになって、私たちも寝たることにしたわけ」
相変わらず、「うん、うん」と頷いている鈴木先輩。
「電気は、鈴木さんが消しに行ってくれて……」
そこまで言うと、森田先輩は言葉をやめてしまった。
本題に入るのかと思っていた私は、話をやめてしまった森田先輩の様子に、少し変な気がしていた。
すると、鈴木先輩が後を続けるように話し始めた。
「当然、真っ暗になるじゃない?私もさ、何か怖いし、速攻、お布団の中へもぐったんだけど、何気に森田さんへ話しかけたんだわ」
「はぁ……」
私が、寝てしまった後の先輩たちのことは判ったけれど、何となくだけれど、ふたりのやり取りが理解に苦しむというか、何がどうなっていたのか、ほとんど想像もつかないでいた。




