宝箱と逃げる猫。
いつの間にそこにあったのだろう。
さっきまでは確かなかったはずだが……
「おお!宝箱にゃー!」
「あ、宝箱であっ……」
「てるんだ」と僕がそう言い切る前に、キャットは駆け出した。
ザクザクザクと足を踏みしめ……
「……ねえ」
「にょほほ~……なんにゃ?」
「足元」
「にゃ?」
そう言ってキャットが足元を見ると、そこには骸骨が……
「にゃあああああ!?」
彼女は、「にゃぁ⁉」「にょぉ!?」「ぎにゃっ」っと、まるで変な踊りでもするかのように、飛び跳ねながら、宝箱の上へと飛び乗った。
「……にゃぁ」
キャットはぐでーと宝箱にもたれかかっていた。
さて、僕も行くか。
干上がった湖に降りた僕は、ざっざっざと骨を踏みしめ歩いていく。
近くで見てみれば、骸骨は意外と小さ……
「ん?これ人間の骸骨じゃない……人間のもあるけど。大半は人間とは違う……ものっぽい?まあいいや」
気になって拾い上げた骸骨を、そこらへんに放り投げ宝箱へ。
「にゃぁ……怖い、怖いにゃぁ」
そう言ってブルブル震えるキャットだが、場所が場所だから邪魔だ。
「ねえキャット……」
「にゃ?あ、もしかして慰めてくれるにゃ!?お前、意外といいところあったり……」
「邪魔だからちょっとどいて」
「ろくでなしにゃ!」
そう言ってツッコむキャットの胸が揺れた。
「おお……」
「何見て……にゃっ!」
そう言って目線に気がついたキャットは、胸を押さえ、顔を赤くし僕の事を睨んできたが……良い物だ。
「さて、それじゃどいて」
「いやにゃ」
「なんで?」
「なんでって、床一面骸骨だらけだからにゃっ!」
そう言ってキャットは床を指し示す。
「でも宝箱の中身気にならない?」
「……気になるにゃ」
「じゃあ、降りて」
「いやっ……けど気になるにゃっ」
そう言って彼女は自分で葛藤をし……骸骨を踏まない場所を慎重に選んでしぶしぶ地面に降りた。
「こ、ここならいいにゃっ……にゃっ!?しまったにゃ!ここからじゃ、宝箱に手がとどかないにゃっ!」
にゃおー!っと頭を抱えるキャットを横目に、僕は宝箱へと手をかけた。
鍵はかかっていないようで、少し重いが開けることができた。
「おお?ん~?」
開けた中には、銀のコインが数枚。七色に輝く宝石が3個。あと、短剣とカバンに服一式が入っていた。
差し詰めチュートリアルアイテムみたいな。
そんな感じだ。
「中何が入ってたにゃー!」
「えっとー……ん?」
振り返ると、キャットはいつの間にかさっきまで僕たちがいる場所まで戻っていた。
距離は、20mくらい。
遠い。
「……なんでそんな遠くにいるの?」
「なんか気がついたらここにいたにゃ!自分でも知りたいにゃ!……って、何にゃーは律義に答えてるにゃっ!?」
そう言ってまた彼女は自分自身にツッコミを入れた。
「って、それより何が入ってたにゃ!」
「えっと~。服と剣と。コインが数枚……」
「服!服入ってたにゃ!?」
そう言ってキャットは目を輝かせた。
「その服にゃーにくれにゃ!」
「えー」
「えーってなんにゃ!」
「僕服着てないんだよ?」
そう言って僕は自分を指さす。
恥ずかしくはないが、服が無いのは心細いのだ。
「君は服を着てるだろう?よってこの服を着る権利は僕にある!」
「あ、確かに……って納得するわけないにゃ!」
「けど服着てないの僕だけじゃん」
「こんなの服とは言えないにゃ!」
涙目でキャットは自分を指し示した。
「……似合ってるよ?」
「そうにゃ?いやーそれは嬉し……くないにゃっ!?何流されてるにゃっ!?」
と、照れ顔から一転、またキャットは叫んだのだった。




