何か不安だ
動く死体。
ゾンビか。
「……本当に死んでる感じなのか?」
僕とキャットはあっという間に囲まれた。
「ど、どどどどど、どうするにゃ!?」
混乱するキャットを横目に、僕も周りを見渡す。
1、2……8体?
「思ったより少ないね」
二桁もいないや。
「多いにゃ!多すぎにゃ!」
「そうなんだ」
こういう時は無数……埋め尽くす数くらいいる物だと思ったんだけど?
そう思っていたらメイドはメイドでその数に違和感を覚えたようだった。
「おかしいですね、数が少ない……もしや、あなたが原因ですか?」
「ふふ、外のゾンビは自分が大量につぶしたでありますよ。まあ、それで聖水大量に使ったでありますが……」
「なるほど……という事は、聖水の在庫はもう少なそうですね?」
「あ、しまったであります」
そこは下手でもはったり言おうよ。
馬鹿正直な反応をするミネコを見て、僕は心の中でやれやれと呆れかえった。
聖水ってのがどういうのか分からないけど、きっとアンデットモンスターに特攻があるみたいなアイテムなんだろう。
こういう時は、嘘でもはったりでも持ってるっていえば相手はある程度警戒するもんだ。
「……全く、やれやれだ」
「やれやれだ……じゃないにゃぁ!」
そうキャットが言うが、まあまあ焦らない、焦らない。
ちゃんと周りは見てるんだから。
僕らの周りを囲むゾンビたちは、いきなり襲うようなことをしていない。
きっとそれはメイドの発言に関係しているのだろう。
『商品に傷がつくので手荒な真似はしたくなかったのですが』
商品とは、おそらく僕たちの事。
この状況を見ている人間がいるとしたら……足元に転がってる剣の事かと思う人もいるだろうが、商品をあんなぼろいガラスケースの中に放置していることはないだろう。
少なくとも埃くらいは払ってる筈だ。
そんなものが商品として大事にされてるか?そんなわけない。という事は別の物。
それが僕たち。
キャットはボンキュッボンの、エッチな美少女。そして僕は男だが、可愛すぎる女神のような美少女……だ。うん。
ってことは、きっと奴隷とかそういうのの価値が高いってことになる……気がする。
「ま、とりあえず。そう言う事だから襲ってこないんだろうね。うんうん」
「何一人で納得してるにゃ!?」
あ、そう言えば口に出してなかった。
まあいっか。
とりあえず、少なくともそう言う事だから目の前のゾンビの彼ら……死体だから物か。
まあ、だからきっとこれらは僕たちを傷つけずに捕獲したいんだろう。
そこに隙がある。
隙があるけど、逃げるのは……難しそうだし。
倒す、倒すか……あれ?倒すしかないのかコレ?
「とりあえず、にゃーは戦うにゃよ!こんなとこで死ぬのはごめんにゃ!」
まあ、殺しはしないんじゃないかな?
……あ、最悪の手段として殺してゾンビ化とかあるのかな?
あーそれは嫌だな~
死にたくないし。
「ま、とりあえず、キャットー」
今にもゾンビにとびかかろうとするキャットに、カバンから取り出した短剣を投げ渡す。
「何にゃ!?にゃにゃっ、なんでお前こんなの持ってるにゃ!?」
「ん?スライムの時宝箱から出て……まあ今は良いじゃない。とりあえず目の前の敵倒しなよ」
確かキャットって「短剣術?」みたいなスキル持ってたはずだし、これでちょうどいいんじゃないかな?あとはキャットが戦ってどうにか突破できればいいけど……
……何か不安だ。
ずっと逃げ腰だったもん。
キャットの実力見るの最初のスライム戦以来だし。
でも、僕のスキルのチート鎧着てるんだよな~
……そもそも、今更だけど僕のチート能力ってチートって感じしないよね。
自分でも思ってたけどさ。
うーん、不安すぎる。
僕は自分の下に転がる剣を拾い上げた。
……なまくらだし、素人だけど
一応持っておこうか。
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