パンパカパーン
粉々になったガラスケースの中、宝石の付いたその剣は鋭い光を放っていた。
まるで自分は、伝説の聖剣であると主張するかのように。
「えっと、とりあえず……パンパカパーン。忍は宝石の付いた剣を手に入れた」
そう言って僕は、剣を天に掲げた。
「武器を下ろすであります……」
「あ、はい」
ぐっと、背中に槍を押し付けられ僕は剣を元の場所に置いた。
「お前は、あの、お前いったい何なんであります?」
「何って言われても、僕は僕としか」
「回答になってないでありますよ」
そう言った彼女の声色には、どこか呆れたような含みがあった。
って言われてもさ。
何について聞いてるか分からない……もしかして、あれかな?
転生者って言ったらいい……いや駄目だ。
うん。
僕は街でリュウに追い回されたのを思い出した。
なんか、教会?に所属してない転生者は危ない存在らしいし。
なんか命狙われるらしいし。
言ったら間違いなく命取られそう。
だから、やっぱり……
「僕は僕としか言えないかなぁ?」
「心臓に槍を突き立てられてるのにその態度、やけに落ち着いてて……やっぱり怪しいでありますよ」
なんか怪しまれてる。
何に?
何故?
「お前も、いや、お前に関しては全く動かないでありますが。いいのでありますか?一応仲間だったりしないのでありますか?」
そう言って彼女は、キャットを見て尋ねた。
「仲間じゃないにゃ。そいつはただの変態、にゃーは巻き込まれた……」
「そう、仲間じゃなくて眷族だよ?」
「そうそう、眷族……って、ちがうにゃ!」
いや、眷族だよ。
だってそういう契約だもん。
全く、何時になったらキャットは受け入れるやら……
僕は内心やれやれと肩をすくめた。
「眷族?……やっぱりお前が、ん?」
そのやり取りを見ていた目の前の騎士少女は何かに気が付いたようで、僕を睨んだままキャットに声をかけた。
「さっき悲鳴上げてたのはお前……いえ、あなたでありますか?」
「へ?悲鳴にゃ?」
そう言われ、キャットは首を傾げ……ああと手を叩いた。
「お風呂場のあれかにゃ?」
「お風呂場の……?ああ、キャットが僕のバタ足に怒ったやつ?」
「お風呂?バタ足?でありますか?」
そういうと騎士少女は、拍子抜けしたようで目が点になった。
「えっと、つまり被害者ではない……のであります……か?」
「被害者、うーん。ある意味ではにゃーも被害者ではあるにゃね」
そう言ってキャットは僕にジト目を向けてきた。
それにしても、被害者って……語弊があるというか、僕も反論がたくさんあるんだけど?
「む、被害者って。ちゃんと君も同意のうえで契約したじゃないの」
「あの時は仕方なくにゃ!同意はしてないにゃ!」
「してたよ!」
「してないにゃ!」
その様子を見ていた、騎士少女は、「えーっと」と視線を空に向けた後……
「一回、整理させてもらうでありますね?」
と、硬い笑みを浮かべて言ったのだった。
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