強盗
「ぐぬぬ開かないでありますよ」
思った以上に丈夫に作られていた扉に、ミネコはそう言って肩を落とした。
「ほかに入り口があればいいのでありますが……」
そう言って、館の周りを見て回るミネコだったが、この館の窓はすべて内側から木の板が張ってあり、入り口を見つけることはできなかった。
「うーん、どうしたらいいでありますかね……ん?」
そう悩んでいた時だった。
ふと上の方に煙突が見えたのだ。
「煙突……いいこと考えたのであります!」
そう言って、彼女は目を輝かせたのだった。
◆◆◆
「この部屋も汚れてるね」
「にゃぁ、汚いにゃ」
館を回っていた僕たちは、もう六部屋目の扉を開けて感想を漏らした。
「埃が凄いや」
「この調子だと、泊まる部屋がどうなってるか不安にゃ……」
「流石に、掃除してくれてる……とは思うけど」
どうだろうか?
今まで回ったどの部屋も埃まみれだった。
「ちょっと不安だけどね!」
「不安すぎるにゃ……まあ、屋根があるだけましだけどにゃ……」
「おいしいご飯もお風呂もあるしね~」
扉を閉めて次の部屋へ。
ガチャリとドアを開けてみると、同じく埃まみれの部屋だが……
「あ、暖炉ある」
部屋の中には暖炉があった。
もう使われていないようで埃をかぶっているが、他の部屋と比べ一段と豪華に見えた。
まあ、ボロボロだけど。
「ほんとうにゃ。うわぁ。ぼろぼろにゃねぇ」
「そだね~」
まあとはいえ、何か気になる物は何もない……おや?
扉を閉めようとした時、一つの物が目についた。
「どうしたにゃ?」
てくてくと、それに向かって歩いていく僕を見て、キャットは不思議そうに声をかけた。
「ふむ。ふむふむ」
それは曇ったガラスの向こうに置いてあった、一本の剣だった。
とても綺麗で、美しい。
大きな赤い宝石が柄にはついていた。
「剣にゃ。凄い綺麗な……飾り物かにゃ?」
そう言ってキャットも覗き込んで呟いた。
「魔法の剣かもしれないよ?」
「魔法の剣なら、こんな部屋にガラスに入れて飾ってるわけないにゃ。ちゃんと武器庫かどっかに閉まってるにゃよ」
「そういうもん?」
「そういうもんにゃ」
そうなのか……
なんかこういう館に飾られてる剣って、大体ラノベだと代々伝わる秘伝の剣みたいな物だと思ったんだけどなぁ。
「……それにしても綺麗だよね」
チラッと、足元に転がっているさび付いた棒状の……おそらく火かき棒を拾い上げ、振り上げた。
「そうにゃ……って、お前何やろうとしてるにゃ!?」
そんな僕を見て、キャットはぎょっとした顔をする。
何って、そりゃ……
「ガラス割って、剣を貰おうかなって」
「お前それ強盗にゃ!?」
「そう?まあ、そうか……どうでもいいけど」
「どうでもよくないにゃっ!お前、こんな良くしてもらって、強盗するにゃ!?にゃーは止めるにゃよ⁉」
そう言って、キャットはがしっと僕の腕を体全体でつかんだ。
ぽよん。
……手の甲におっぱいが当たって、いいね。うん。
「絶対、絶対やめ……お前、変な顔するにゃ!?」
「へ~?えへへ~おっぱい気持ちいいなって」
「にゃっ!?やめろにゃっ、気持ち悪いにゃっ!」
そう言って、まるでゴミを見るかのような目でキャットは僕を見ていたのだった。
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