館の探検
一人になった食堂で、ディラはワインを飲んでいた。
「全く、臭くてたまらん。鼻がねじり取れるかと思ったぞ」
不快な匂いをごまかすために、ディラはワインを何杯も飲み干す。
「それにしても美しい少女たちだった。特に……」
そういうと彼が思い浮かべたのはキャット……ではなく、忍の方だった。
「まるで女神のような。絶世の少女」
取引で渡すのは惜しい。惜しすぎる。
「あの猫の獣人は、奴隷として渡すとして……彼女は私の手元に置いておくのもありだろうな」
そう言ってニヤリと笑った口元からは長くとがった犬歯が飛び出していたのだった。
◆◆◆
お風呂から上がって服を着る。
うん。
「最高の気分だ!例えるならそう、正月元旦の朝に……」
「それならよかったです」
「……最後まで言ってから話しかけてくれないかなぁ?」
「はあ……?申し訳ありません」
ま、いいんだけどね。
「ところで……お客様方はこれからいかがなさいますか?」
「ん?いかがなさる……とは?」
「お二人は冒険者でしょう?やはり、依頼などでこの森に来たのでしょうし、お帰りになってもよろしいのではないでしょうか?」
そう言って、彼女はそっと僕らを見た。
「にゃ?まあ、確かにいっぱい良くしてもらったからにゃ……さすがに迷惑だったにゃ?」
「いえいえ、そんなことはありません。もちろん今夜はこの館に泊まる……という選択肢もあります」
「そう?」
僕は少し考える。
「……泊まってもいいのかにゃ!?」
「ええ、もちろん」
「それなら泊まりたいにゃ!」
「あ、ちょっと勝手に……」
「分かりました。お部屋の準備をさせていただきますね」
そう言ってメイドはぺこりとお辞儀をした後「それでは、私はお部屋の準備がありますので。お二人は自由にしていてください」と、言い残して脱衣所から出て行った。
「……ちょっとキャットぉ?」
「にゃ!?何睨んでるにゃ!?」
二人きりになった僕は、ジトっとした目でキャットを睨んだ。
「あのさぁ、君は眷族で僕の眷族。わかる?」
「分からないにゃ!」
「そういう契約でしょ!」
そう言って僕はぷくっとほっぺたを膨らませた。
「全く、眷族が勝手に決めないでよ。もう」
「大体、眷族になった気はないにゃ!」
「ま、いいや。そんなことよりさ、自由にしててって言ってたし、ちょっと館探検しに行こうよ」
「そんなことじゃないにゃっ!館の探検は……たのしそうだけどにゃっ!」
そう言って叫ぶキャットの手を引く。
「さ、行こうか!」
「にゃにゃっ、引っ張るにゃっ!」
どんな部屋があるのか。
童心に戻ったみたいで、ワクワクするね!
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