ネズミがいるけど捕まえないでね
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中はとても暗かった。
昼だというのに、闇に覆われ、少しも先が見えない。
「……暗すぎるにゃ」
「ああ、そうでした。明かりをつけますね」
そういうとメイドさんは何かを手に取り、明かりをともした。
多少の明かりがともってみれば、それが古びたろうそく立てだということが分かった。
手入れされていないのか、サビが浮いているのが見え……いや。
明かりがともったことで見えた内装で、それがろうそく立てだけの問題じゃないことが分かった。
陰鬱とした薄暗い屋敷の中は、蜘蛛が巣を貼り、調度品は埃をかぶっていた。
掃除すらしてないのだろう。
屋敷に入って一番目に入る、長髪で剣を天に掲げた、神々しくも美しい女性の像すら……不気味に見えた。
「彼女は、今の主がこの館を手に入れる前から置かれていたそうです。戦女神の像……プレートにはそう書かれておりました」
「そうなんだ」
僕が見ているのに気が付いた彼女が横から教えてくれた。
「戦女神かにゃ……?そんな神聞いたことが無いにゃ」
「おそらく、神……というより、英雄に近い存在だったのかもしれませんね」
「にゃるほど」
「さあ、こちらです」
僕たちはメイドさんの案内の元屋敷の中を歩いていく。
「少し汚れていますが、お気になさらず」
「少しどころかだいぶだし……」
僕は仲間の死体を共食いしているネズミを見ながらつぶやいた。
「……キャット」
「な、なんにゃ?」
「ネズミがいるけど捕まえないでね。ばっちぃから」
「にゃーをなんだと思ってるにゃ!?」
何って、猫はネズミを捕まえるのは常識じゃないか。
「お前の中のにゃーは一体どうなってるにゃ……?」
「エッチで可愛い女の子」
「エッチはよけいにゃ!」
そう話していると、メイドが振り返って声をかけた。
「お二人は仲いいのですね」
「仲は良くないにゃ‼貧乏くじひかされた、最悪の腐れ縁にゃ!」
そうすぐさまキャットは「ふしゅー」と抗議した。
「そうなのですか?」
そうメイドが僕を見た。
「仲は悪くないと思うけど?」
「お前が思ってるだけにゃ!」
メイドは僕たちの様子を見ると、くすりと笑った。
「とても仲が良さそうに見えますよ。とてもとても……」
そういうと彼女は、少し目を伏せた後……
「さあ、そろそろ食堂です。食事が出るまでは時間がかかりますので……申し訳ございませんが少しの間お待ちなさって……ああ、そうそう。食堂にはこの屋敷の主も来られるそうなので。粗相のないようにお願いしますね?」
彼女はそれから少し歩き、一つの扉の前で立ち止まり……
「それでは、お二人ともごゆっくりなされてください」
彼女はその、さび付いた音を立てる扉をゆっくり、片手で開いたのだった。
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