不気味な館
森の中を歩いたら、何処にたどり着くか。
そう、不気味な館だ。
「……なんで?」
森の中をさまよい歩いていた僕たちは、目の前にそびえたつ館を目にし目をぱちくりとさせた。
「こんな森の中に、館があるにゃんて……」
「……でもボロボロだね」
そう、目の前の館はまるでホラー映画に出てきてもおかしくないほどに、ボロボロだった。
錆びた門が半開きになり、荘厳だっただろう庭は藪が生え放題。
窓という窓は内側から木の板が張られ、壁には蔦が生え……とてもじゃないが、誰かが住んでいるようには見えない。
「不気味にゃ……」
「だね」
僕が頷くと、キャットは少し驚いたように目を開いた。
「……何さ?」
「驚いたにゃ、お前からそんな言葉がでるにゃんて」
そういうキャットだが、全く。
僕はもともといたって普通のニート。
一般人だからね?
「……僕をなんだと思ってるのさ?」
「変態」
「正解」
「正解しちゃったにゃ……」
そんなことを話していたら、キャットが耳をぴくッと動かした。
「にゃっ!?何の音にゃ!?」
「音?」
耳を澄ますが、ふむ。
「何も聞こえないけど?」
「聞こえるにゃ、館の中から微かにだがにゃ」
獣人だから耳がいいのかな?
そう思っていたら目の前の館の扉がぎーっと動いた。
「にゃうっ!?」
ビクッと体を揺らしたキャットが僕に抱き着いてくる。
……まだ臭いんだけど。
汚いし。
「あのさ……」
「おやおや、こんな森の中に麗しい少女が二人……迷子にでもなられたのでしょうか?」
僕が抗議の声を口にしようとした時、館の方から女性の声が聞こえてきた。
声の方を向くとそこにいたのは、クラシカルなメイド服を着た、黒髪の女性だった。
「……ん、どうも?」
「にゃにゃっ……にゃ?メイドさんにゃ?」
胸を押し付け震えていたキャットは、その女性を見て落ち着いたようだ。
「私、この館でメイドをしております……メイデンと言います」
そう言って彼女はかつかつと近づき優雅なお辞儀をした。
お辞儀をした瞬間、そのたわわな胸がブルんと揺れる。
「わぁ、でっかいにゃ」
「……そうだね」
「お二人は……いえ、それよりも」
そう言って彼女は、錆びた門をギーっと全開に開いた。
「こんな森の中――さぞお疲れでしょう……是非わが屋敷にお休みになられてください」
「へ?」
手で入り口を示され、キャットは素っ頓狂な声を上げた。
「えっと、にゃーたちただ迷って……」
「……この屋敷に来られた理由は、問いません」
そういうと彼女……メイデンは僕とキャットの顔を交互に見た。
「美しい女性は誰でも、ご招待させていただく。それがこの屋敷のルールでございますから」
そう言って彼女はクスリと微笑みを浮かべたのだった。
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