ビッチは興味ないんだ side.ラシット
大通りに一度出て、路地裏へ入る。
この町の地形は、信者たちからの情報ですべて頭に入ってるのだ!
「いやーそれにしても、あの子……忍君には、ああいったけど。実際結構きついんだよな~」
思わず苦笑いする。
人間でいうところの、指を一本自分でちぎってこねくり回して作ってるわけだ。
「命に別状はないけど、やっぱり痛いよ~」
そう言って近くの家屋の扉を蹴破り入っていく。
「しつれいするよ~」
ま、寝てるかな?
階段を上がり、二階の扉から外へ。
屋根の上に立った私は、はてさてと周りを見渡す。
「やっぱり皆私たちを探してるのかな~」
端的に言おう。
冒険者ギルドを爆破したのは、ラシットだ。
全ては、忍を助けるため。
「私の信者にデコイばらまいてもらったのに、探知してくるんだから……教会側の神様たちは優秀だよ。全く」
忍の転生前。
ラシットは自身の信者へと、信託を下していた。
その内容は、本体の降臨の為、儀式を執り行うようにと。
まあ、実際はてきとうな信託で、行わせた内容はデタラメ。
「……さすがに、転生の神力はごまかせないから、それ以上の魔力でごまかして転生だけは察知させないつもりだったんだけどねぇ……」
やれやれ、上手くいかないものですな~?
理屈としては、汗の匂いを香水の匂いでごまかすような感じが近い。
「教会から邪教討伐のために誰かしら派遣されたりするだろうなって想定は流石にしてたけど――少なくとも転生だけはごまかせると思ったんだけどね」
よっと。
ラシットは屋根を渡り、地面へと飛び降りた
「彼に死なれたら困るんだよ」
と言いながら着地した瞬間、足から脳天へ振動が突き抜けた。
「そうだったあばば……人間の体は不便で仕方ないよねぇ~」
「そう……幸い今回は死者がいなかったけど、人間は爆発で簡単に死ぬんだよ」
ラシットは声の方を振り向いた。
そこに立っていたのは、肩に竿をかけた、丸い眼鏡の細い目の男……リュウがそこにはいた。
「あら~見つけるのが早いねぇ君」
「今回に至ってはたまたまさ。それで?君の目的は……いや、そもそも君は何者だい?」
そう言ってリュウはその細い目を、鋭くラシットに向けた。
「それはそうと、砂漠の商人なんて少ないけど探せばいるだろうに……君が探してるのは別の人かもよ?」
「この町には君しかいないそうだよ、砂漠系の商人」
「マジか」
「本当さ」
そう言った後リュウは「それに……」
と続けた。
「大体そこまで内容把握している時点で、君が犯人だって確定のようなものじゃないか」
「ま、それはそうとしか言えないね!」
そう言ってラシットは笑い……そして、逃げ出そうとする。
「逃がさないよ」
「っ……流石にやるね」
が、すぐに対応したリュウの釣り針にかかってしまった。
「……さて、これで逃げられないし。じっくり話を聞こうじゃないか。何でこんなことをしたのかという事、そして……そもそも君が何者かという事」
そう言った後リュウは肩をすくめた。
「ま、さっきの言葉を聞いて正体については大体察せるけど。君、邪神でしょ。で、その体は依り代。違うかい?」
「……まあ、違わないね……邪神って言われ方気に入らないけど」
「へぇ、答えるんだ」
少しも意外そうにリュウはせず、細い目で鋭くラシットを見つめ続ける。
――何故だ?何故抵抗しない……?
何となくだが騒ぐ第六感にリュウは警戒しながらラシットとの会話を続ける。
「抵抗しないのかい?」
「しても無駄だろ?ならしないさ……それよりもっと近づいたらどうだい?私の胸は空いてるよ?」
そう言って豊満な胸を揺らすラシットだが、リュウは全く興味を示さない。
「悪いけど、ビッチは興味ないんだ」
「残念だ」
そうちっとも残念そうにせず、ラシットは言った。
「とりあえず、君はそのまま拘束させてもらう。大人しくしておくんだよ」
「分かったよ」
その言葉の通り、ラシットは大人しく拘束されたのだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
面白かった、続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をしていただけると嬉しいです!
コメントも気軽にいただけると励みになります!
応援をいただけると、更新速度が上がる……かもしれません!
今後ともよろしくお願いします!




