僕にとってキャットは……
消えたキャットは何処に出るか。
「にゃっ⁉ここに出るにゃっ⁉」
ポンっと音がして、キャットが屋根上に出現した。
「キャット逃げて」
「言われなくても逃げるにゃっ!」
目を閉じ、防御の姿勢を取っていたリュウは少しの間困惑したようだった。
「……死んでな……しまったっ⁉」
リュウが気が付いた時にはもう、キャットは屋根伝いに走り出していた。
「キャット!路地裏入って……」
「にゃへ?なんかいったにゃ……」
「逃がさない……よっ!」
そう、鋭いリュウの釣り糸が飛んだ。
勿論僕も一緒にだ。
「……なるほどねっ」
段々リュウの能力が分かってきた。
が、その前に。
僕はまたさっきと同じようにキャットへと近づく。
3……2……1…………今っ!
「召喚!キャシー・ニャシー!」
「にゃっ、またにゃ!?」
ポンっと音がして、キャットが路地の中へと落ちていく。
「連続して使えるのかよ!?」
そう言って、リュウは竿を引き寄せた。
「キャットー!そのまま路地裏入って、逃げてー!こいつの能力、直線距離じゃないと狙い付けられないっ……うへっ!?」
「くっ……」
果たしてキャットに伝わったのだろうか?
そう考える暇もなく、再度引き寄せられた僕は屋根の上に転がされた。
「うへっ……」
どん、とんっ……と、バウンドして着地した僕は仰向けに転がされ、つつ……屋根上を滑り墜ちそうになった。
「危なかったぁ……」
右腕だけ屋根から落ちた状態で止まった僕はホッとする。
高いのは怖いからね。
今日は何回も落ちてるけど。
「まったく、まさかヒロインを逃がすって選択肢とはね」
ざっざっと足音と共に近づいてくる音が聞こえ、僕はその場で顔を上げ、慎重にゆっくりと立ち上がった。
「ヒロインか、それはちがうね……」
ドラゴンに飛ばされ、泉に落とされスライムと戦い、盗賊から逃げ……そして、今……
仲間。ってわけでもないし、友達ってわけでもない。
そう、一言で表すなら……この言葉しかないだろう。
「僕にとってキャットは、おもちゃで、眷属だ」
◆◆◆
「眷属だ」
そう言った彼女……彼の目を見た時、俺の背筋はスッと冷えた。
例えるなら、そう……始めてドラゴンと相対した時。
いや、違う。
この雰囲気は、そう……初めて、初めて……
『当たり前だよ。人を守るためには、人以外の犠牲が必要だったんだから』
そうだ、魔族の……子供の死体の前で……笑顔でそう言ってたアイツと……
「一番怖いのは……人でしたってか?」
不気味だ。怖いじゃない。
不気味なんだ。
子の目の前の桃色髪をした、可愛らしい少女の姿をした……この怪物が。
まるで人を人とは思わない発言を、当然のようにするっこの不気味さがっ!
「ん?僕は怖くないよ?ほら、こんなに可愛い」
「っ……そうか、心が漏れてたか……確かに見た目は可愛いね」
「そうでしょ?」
ニコッと笑った”奴”はおどけたように笑った。
心の底では今何を考えてるのか。
分からない。
「名前を聞いておいてもいいかい?」
「名前?」
「そう……ここで殺すつもりだけどさ。聞いておこうと思って」
そう、尋ねると奴は答えた。
「僕は、対馬 忍……殺すのは、残念だけどそれは諦めて欲しいな」
「それは無理だねっ!こっちも仕事だしっ」
それにこいつを、放っておくのはヤバいと。俺の直感が言っているっ!
「ここで殺すっ……フィッシング………」
「っ……そろそろいいかなっ!転移っ!キャシー・ニャシー!」
瞬間奴が消えた。
「くっ、転移系能力はコレだから厄介なんだっ!」
出しかけた技をキャンセルし、釣竿のリールに手を振れる。
リールはカラカラカラカラと周り、まだ糸が引っ張られていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
面白かった、続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をしていただけると嬉しいです!
コメントも気軽にいただけると励みになります!
応援をいただけると、更新速度が上がる……かもしれません!
今後ともよろしくお願いします!




