火力でゴリ押す
折角だからあと一話出します。
「いやさ、色々考えたんだけど。何も思いつかなくて……」
そう言って僕はしょんぼりしたように言う。
「黙っていっぱい頭働かせたんだけど……」
「ああ、だから大人しかったってことかな?」
「そう……」
そう言って僕はキャットのおっぱいに顔を埋めた。
「にゃぁ……お前、期待させといて何にもないにゃ……なんか、なんかないにゃ!?」
「何も無いよ。お手上げお手上げ。白旗上げちゃうよ。……前に似たようなシチュエーションがあったなら、そう。例えば、盗賊に拘束された……みたいな?状況から逃げた……みたいな経験があれば……経験って大事だと思わない?」
「お前何言ってる……にゃ?」
僕がそう言うとキャットは呆れた様な顔をした後……何かハッとしたようだった。
「……そう言う事にゃ?」
「どういうことか分からないけど、覚悟決めた方が良いと思うな」
僕はそう言うと、キャットのおっぱいから顔を上げ、リュウに尋ねた。
「ねえ?冥土の土産に教えてよ」
「冥土の土産に教えてあげようっていうのどっちかって言うと俺のセリフじゃないか?まあ、別に……答えるかは質問によるけどね」
「そう……この釣り竿と糸って君の能力?」
「能力……チートスキルについて聞くのか~うーん。まあいいよ答えてあげるよ。その問いはノーだ」
「なるほどー」
釣り竿が能力じゃないってことは、釣竿を通して発動する能力。
になるのかな?
射程距離。
問題はそれだ。
僕がキャットを召喚する。
そしてキャットが逃げた先で僕が転移して合流……お昼の盗賊の時と理屈は同じだ。
ただ、あの時は盗賊の足の速度と、遠距離武器が無かったから上手く言った話。
――糸はさすがに有限だろうとは思うし……どれくらいの長さがあるか。まあ、魔法で空間拡張して糸は無限に出てきますよ……みたいな感じだったら、困るけど。
待てよ。
そう言えば、なんでリュウはここまで近づいてるんだ?
僕たちが襲われた時、リュウは屋根の上にいた。
屋根の上。
余裕があったから?
飄々とした態度を考える。
本当に余裕だったと考えるのもできるだろうが、それは演技って可能性もある。
僕がそうであるように。
――そう言えば、リュウはこう言ってたよね「転生者は核が服着て歩いているような物」って。
そんな相手と余裕の気持ちで戦える?
僕は無理だ。
もしかしたら相手は戦闘向きの、それこそワンパンチで敵を倒すような能力者であったりする可能性もあるわけで……できるだけ距離を取って戦いたい。
少なくとも直線状に遮蔽物が無いような状況にはなりたくな……
釣り竿。釣り……もしかして、あいつの能力の弱点って……
「俺からも質問させてよ。君もチート能力持ってるんでしょ?」
「うん。持ってるよ?」
「君のチート能力って何?」
鋭い目でリュウは僕の顔を見た。
突き刺すような冷たい目だ。
……余裕ってわけじゃなさそうだ。
こいつも、警戒している。
「僕のチート能力は、これさ!」
「どれだい?」
「あ、指させないんだ。ちょっと拘束といてくれない?」
「無理なことを言わないでくれよ」
「えーケチ―!」
チラッとキャットを見る、キャットは少し緊張しつつも、目をかっぴらいて僕の事を見ている。
その目が物語る言葉はおそらく……「いつ!?いつにゃ!?早くしてくれにゃ!?」だろう。
だと思う。
だったらいいな。
「ま、折角だからさ。今使えるチート能力を見せてあげるよ」
「っ……それはそれは、とてもいいね」
「まあ、じっくり見ておくといいよ僕のチート能力をさ」
そう言って僕が言うと、リュウは身構えた。
力が入ってるね。
警戒してるね。
それでいい。
異世界系の主人公は、こういう時どうするか。
そう、火力でゴリ押す。
それ以外もいるだろう。
けど基本はそれだ。
伏兵の攻撃もある。
とりあえず言いたいのは、攻撃すると考えるのが現代人にとっては普通だと言う事。
攻撃されたらどうするか?防御、回避。
行動をとらなくてはいけない。
準備動作もあるのだ。
ただその準備動作に入った後、咄嗟に別の行動をとるのは難しい。
「まあ、君が受け止められたらまた会おう!」
僕は高らかに宣言する。
自然に、おちゃらけて。
「やめろっ」
警戒してるね。
警戒強いね
これでいいのだ。
「召喚:キャシー・ニャシー!」
瞬間、キャットが消えた。
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