お尻丸見え
「そんなこと言ってても、もう脱げないし、上からも服着れないんだから。さっさと出ていかないと。ここにずっといる訳にもいかないんだからさ?」
「それは、まあ……って、誰のせいだと思ってるにゃ!」
「とりあえず、さっさと行こうか」
「にゃにゃっ!?まだ心の準備がっ!」
僕はキャットの右手を引いて大通りに飛び出した。
馬車に乗ってるときも一応街中は見えていたが、改めてこう、地面に足を付けて見てみると、想像通り、妄想通り。
「中世ヨーロッパ……なーろっぱの街並みってやつだね」
「にゃにゃっ……っ!?は、恥ずかしいにゃっ」
そう言っているキャットを見てみると、彼女は、左腕で胸を隠していた。
「それ、意味あるの?」
「意味は、無いかもしれないけど、けどっ!」
そう言っている彼女の顔はトマトのように真っ赤になっている。
「何ていうか、可愛いね」
「この状況で言う言葉じゃないにゃっ!」
何て叫んでいるキャット。
……なんか、見られてる気がしてならない。
周りを見てみると、主に男連中が……いや、男だけに限らず、皆こっちを見ていた。
正確には僕ではなく、キャットを。
「……なんでみられてるんだろうね?」
「当たり前にゃ!こんな、こんなっ……」
そう何か言いたげなキャット。
「なんだアレ……痴女?」
「なんつーか、いいもん見れたな」
「何あれ、恥ずかしくないのかしら?」
「ママ―見えない―!」
「しっ、見ちゃダメ!」
……なんかそんな声が聞こえてきた。
「にゃぁ……にゃぁは、痴女じゃないのにぃ……」
そう言って絶望したような声をキャットは出したのだった。
◆◆◆
「……それで、ここが冒険者ギルド?」
「にゃ、そうにゃっ」
そう言ってキャットは僕の後ろからヒョコッと顔を出した……
「ねえ」
「なんにゃ?」
「これでいいのかな?」
色々試した結果、キャットは僕の後ろに収まるのが定位置になっていた。
「……良いにゃ、とりあえず」
そう言って、どこか不満そうにキャットは言う。
「……後ろから、お尻丸見えだけど」
「いいにゃ。前だけ隠れれば……前だけ隠れれば問題なくにゃいか?」
そう言って当たり前のように言う彼女の言葉を聞いて、まあいいかと……
「それでいいのかな?」
まだ見られてるし「痴女か?」「すげぇ恰好してんな……」なんて言われてるけど。
「あ――でも、そういえば……」
……最初着てた服も、まあ、痴女というほど露出はしてなかったが、下半身はズボンというよりパンツみたいな感じだった。
「って考えると、もしかしてキャットって痴女の素質があったのかな?」
「痴女の素質って何にゃ!?不名誉にゃ!撤回しろにゃ!」
「まあいっか」
「よくない……にゃー!勝手に歩き出すにゃー!」
とりあえず、さっさと冒険者ギルドに入ろう。
そう、キャットがぴったりくっついたままギルドの扉を開けたのだった。




