大通り
「とりあえず、一旦冒険者ギルドに行くにゃ」
「冒険者ギルド……」
といえば、異世界物でよくある物だ。
暑苦しくて、汗臭そうで。
良く主人公が絡まれたり……あと、なんか強い敵倒して「うぉおお!」みたいな反応されるよね。
「って言っても、僕はそういうのは特にない……」
待てよ。
そういえば、ダンジョンの中でデカいスライム倒したよね。
……あれだけ大きいと、強い魔物なのかもしれない。
「なるほどね、地下のスライム倒してそれの報告に行くんだね?危険だから気を付けろって」
「何言ってるにゃ?」
そう言って彼女は「馬鹿なの?」とでもいうかのような顔をした。
「あの程度の魔物でわざわざ危険だとか報告するわけじゃないにゃ」
「あの程度?」
「あれは、一流冒険者なら……難なく倒せるにゃ」
えぇ?
異世界物だとあれって、Sランク魔物みたいな……Sランクじゃなくても、Bランクとかさぁ。
報告したら一気にランクアップするみたいなイベントじゃないの?
「……ま、そういうもんか」
「そういうものにゃ。大体、討伐した証明何て何もないにゃ」
「証明ねぇ……あ」
なんかなかったかと思い返した時、宝箱の中から宝石のようなものを拾っていたのを思い出した。
「これとか証明にならないかな?」
そう言ってカバンから取り出してキャットに見せてみた。
……魔物から落ちた七色に光る石。
俗にいう魔石とでもいう物なんじゃないだろうか?
魔石っていえば、物語によっては、それが証明につながったり……少なくとも、強い魔物からは強力な魔石が落ちたり……ってのはよくある話だ。
「なんにゃそれ?」
「え?」
と思ったが、何やらキャットの反応がおかしい。
「……魔石みたいな?」
「魔石?魔石は、こんな色してないにゃ」
「そうなの?」
「そうなのにゃ」
じゃ、これなんだ?
そう思って、改めて七色に輝く石を見る。
「うーん、魔石じゃない。ってなると何だ?うーん……まあいい、まてよ」
ふと思い出したことがあって、僕はステータスを開く。
そして、見たのだ。
ユニークスキル
≪鎧と眷族≫
の説明欄を改めて。
……あの時はさっと速読で読んだから、何個か読み飛ばしてたんだけど……うーん。
「なんかどっかに書いてあったんだよな。石がどうこうって……」
そうブツブツ言いながら読みながら、さながら歩きスマホみたいな状態になりながら、キャットに手を引かれて歩いていたら、突然、ドンッ、と何かにぶつかった。
「にゅ?」
目線を上げ目の前を見ると、立ち止まっているキャットの姿と、道の先に見える人が行きかう明るい道が見えた。
「やっばいにゃ……やっべぇにゃ」
「どうしたのさ?いきなり立ち止まって」
「こんな、こんな……」
「ん?」
何かあったのかと思って、キャットの顔を僕は覗き込んだ。
覗き込んだ彼女の顔には、引きつった笑みが浮かんでいた。
「なにさ?冒険者ギルド行くんじゃないの?」
「いくにゃ、いく……にゃ。行こうと思ってるにゃ……けど」
「けど?」
「こんな格好じゃ、大通り出れないにゃ……」
そう、彼女は「ハハっ」と乾いた笑顔でそう言ったのだった。




