露出狂と、露出狂と、後変態
ガラガラと馬車を転がし、入口へと差し掛かる。
よくある並んでて入れないという状態ではなく、普通に入り口は空いていた。
「……並んでないねぇ」
「王都でもなければ、並んでる方が珍しいさ。さ、さっさと入ろうじゃないか」
そう言って馬車を進めると、そこに一人の若い男が立ちはだかった。
手には槍を持ち、銀色に輝く金属の鎧を身に着けている。
差し詰め、街の門番……いや、そう言う仕事をしているのだろう。
「ちょっと一旦止まってくれ。お前、踊り子……いや、商人か?」
「ああ、商人さ!なんか問題でもあるかい?」
「いや、問題はないんだが……」
「……ああ、そうか‼ここいらでは褐色肌は珍しいのか!」
「いや、そうじゃなくて、お前の服」
そう言って兵士はラシットを上から下までチラチラと見た。
「何か問題でもあるかい?もしかして、君のアソコが反応しちゃった?」
そう言ってラシットはニヤニヤした笑顔を向けた。
「なっ、そんなことっ」
「まあいいや。とりあえず早く中に入れてくれないかな?それとも、何か問題でも?あ、もしかして私と一夜共にしたかったり……」
「い、嫌なんでもない!通ってヨシ!」
そう言って若い兵士が道を開けようとした時だった、
「いや、駄目だろ」
「あ、先輩!」
そう言って出てきたのは、ひげの生えたおっさん兵士だった。
「お前さん、なんか上着とかないか?流石にその服じゃ、この街の風紀が乱れるからな」
「え?ダメなのかい?一応大事なところは隠してるけど、ダメかい?」
「まあ、お願いって奴だ。それとだ」
そう言うと男はちらっとラシットの間に座っている僕を見た。
「……嫌、違うか」
そう言って彼は首を振る。
「何が違うんだい?」
「いやなに、何でも、ここの近くで野良の転移者、もしくは転生者が出現するという預言が、教会の方から出されてな。ちょっと警戒を強めてる所なんだよ」
「野良転移……転生者か……それはそれは」
そう言ってラシットは少し目を細めた後、チラリと僕を見た。
「何?」
「いや、何でもないよ」
「そう、それにしても。たぶんそれ僕……」
「おっと、転生者が現れたなら、こんな警戒するのも仕方ないね!なんたって転生者は危険な存在だ!見つけたら即刻駆除しなきゃね!」
そう言って、ラシットは大きな声でそう言った。
「……駆除までは言い過ぎだが……まあ、そうだな。早くつかまえないといけないな。その後、どうなるか……まあ十中八九処刑だろうが」
「そうだね!それは本当に早くつかまえて欲しいよ!早く察してほしいなぁ!」
そう言うとラシットは僕の頭をなでて来た。
「……察知だろ。そうだな。早く見つけてほしいな。一応そのために、教会の勇者様がこの街に今滞在してるし。まあ、任せとけば大丈夫だろう」
そう言って兵士は頷いた後「さて」と声を出した。
「とりあえず雑談はここまでにしてだ。そう言う事だから、一旦その馬車の中も改めさせてもらうぞ?」
「そうかそうか、勿論!問題ないさ!」
と、そうラシットが言った瞬間、荷台でどたどたと騒がしい音がした。
「ん?なんだ?荷台に誰かいるのか?」
「ん?ああ、冒険者の子が一人乗ってるよ」
「そうなのか?」
そう言うと兵士は若い兵士に声をかけ、馬車に上がり込んだ。
「じゃあちょっと失礼するぞ?」
「ああ、好きなだけ見るいい。あ、もしかしたら、私の下着とかも見つかっちゃうかもねぇ」
そう言って若い兵士を見ると、彼は赤くなった。
「やめてくれ、そいつ最近結婚したんだからよ。誘惑は勘弁してやれ」
「はは!そうなのかい!それはおめでたいね!ずっこんばっこん!やりなよ!」
そう言ってラシットは「ははは!」と大笑いした。
そんな中、呆れたような顔をしながらおっさん兵士は、いつの間にか閉まっていた荷台のカーテンに手をかけ……
「にゃーちょっと待ってくれにゃああああ!」
開けられると同時に、焦った声が飛び出したのだった。




