ついてます!こいつ!
森から現れた男たちは、茶色い、くたびれてはいるが革製の鎧を着ていた。
くたびれた……と言うが、別によくある盗賊の描写で使われる、安っぽさ、壊れた、ボロボロ。
何て物じゃない。
例えるならそう、長年野球をしていた人間の、愛用しているグローブのような。
そういう風な雰囲気があった。
乃ち、彼らは……
「にゃっ!?奴隷狩りにゃ……まさか、まさか、賞金首の……」
「お?痴女の姉ちゃんは俺たちの事を知ってるのか?」
「当たり前にゃっ。C級賞金首ボロンゴをリーダーにした奴隷狩り盗賊団……ここ数か月ここら辺で出没してるから、初心者の冒険者は気を付けるようにって登録した時に言われ……って、にゃーは痴女じゃないにゃっ!」
「痴女だろどう見ても」
冷静に考えてみれば、確かにビキニアーマーは痴女と言われてしかるべき格好だ。
「確かに……」
「お前は、納得するにゃっ!!」
納得したから頷いたら、キャットから突っ込まれた。
何故?
「何故?みたいな顔するにゃっ!お前が着せたんだろうがにゃっ!」
「ああ、確かに」
「お前の脳みそどうなってるにゃっ!……にゃにゃっ!?」
そう叫ぶキャットの手が、突然引っ張られ、彼女はびっくりしたのか、焦ったような声を漏らした。
「おいおい、お前ら、俺たちを忘れるんじゃァ、ねえ!なめてんのか?」
「にゃっ!?そうだったにゃっ、べ、別になめてるわけじゃないにゃ?」
こわもての男……おそらくリーダーらしいから、キャットの腕をつかんでる男がボロンゴだろう。
彼ににらまれ、キャットは冷や汗だらだらに流しながら、目を背けていた。
……確かに、あの顔で睨まれたら、怖いだろうな。
なんて考えていた時だった。
「にょっ!?」
突然、なんか宙に浮いた感覚を覚え、変な声を出してしまった。
「お頭!こっちも捕まえましたぜ!」
なんかいつの間にか僕の後ろに回り込んでたらしい。
捕まってしまった……大変だ。
暴れて逃げ出そうにも、力が強くて抜け出せない。
困った。
何なら仮に抜け出せたとしても、周りをもう囲まれてるわけだから、逃げられないだろう。
きっと。
僕は今、か弱い少年……うん、美少年なのだ。
きっと無理だろう。
「でかした!くく、さーて一体いくらで……」
「あ、お頭!」
「どうした!」
突然、僕の目の前に回った盗賊の一人が声を上げた。
「こいつ、ついてます!」
「何が!?」
「ついてます!こいつ!」
「だから、何がついてるんだ!」
「ちんちんが、ついてます!」
「え⁉その見た目で!?」
ボロンゴは目と口をあんぐりと開けたのだった。




